法隆寺(奈良県斑鳩町2018/06)

~バリア難所ではスタッフが力技でサポートします、車椅子で行く世界最古の木造建築~

 

・難所は2か所

1300年以上の歴史がある法隆寺。バリアフリー施設であるわけがありません。ところが想像以上にスロープの設置が進んでいます。そうはいっても難所あり。西院伽藍の入口付近と出口です。この2か所は車椅子で行くと、お寺のスタッフが力技でサポートしていただけました。法隆寺のバリアフリー事情を詳しくご紹介します。

法隆寺

・スロープを越え砂利道へ

法隆寺の正面入口は「南大門」。門は階段構造ですが、正面から見て左側にスロープがあります。「南大門」を抜けると「護摩堂」の横までが砂利路面。それほど深い砂利ではないので、車椅子でなんとかクリアできます。

 

「護摩堂」の横に段差あり。両脇がスロープになっています。このスロープの前後の砂利はやや深く、車椅子での通行は力と気合が必要です。スロープを上った先に「西院伽藍」が見えます。

 

「西院伽藍」までの路面は、やや深い砂利路面。「西院伽藍」の入口付近に数名のスタッフが見えます。車椅子を見つけると二人が来てくれて「お手伝いします」と車椅子を力技で引っ張ってくれました。いっきに砂利路面をクリアし、その勢いで「西院伽藍」入口の急なスロープをクリア。ここで拝観料金を支払います。

法隆寺

・障害者減免は本人と介助者2名に適用

法隆寺の拝観料金はそれなりのお値段。障害者減免があり、車椅子利用者の場合は、本人と介助者2名まで半額に減免されます。2名の介助が必要なバリア施設だ、ということです。

今回夕方に行き知ったのですが、閉門まで1時間を切ると、拝観料が少し安くなります。これはすべての施設を見る時間がないため、ということ。「今回は大宝蔵院だけをみたい」というような人は、閉門1時間をきった時間に行かれると、少しお得です。

法隆寺

・西院伽藍は回廊左回りで

西院伽藍に入ります。通常の拝観ルートは中庭の五重塔と金堂を巡りながら。ところが中庭は深い砂利面で車椅子はスタックします。車椅子利用者は回廊を左回りで一周して拝観します。現地でスタッフがルートを教えてくれるので、従ってください。

法隆寺

・回廊出口が第二の難所

西院伽藍の回廊を一周すると、最後は健常な拝観者と同じ出口にでます。この出口は階段。横にスロープがあるのですが、急坂。ここもスタッフが力技で手伝っていただけます。急なスロープをなんとかクリアして。「大宝蔵院」方面へ向かいます。

法隆寺

・大宝蔵院はバリアフリー

西院伽藍から「食堂」横を通り「大宝蔵院」へ。この間浅い砂利面はありますが、車椅子での移動に大きな障害はありません。

「大宝蔵院」は平成10年に落成した近代建築物。ここはバリアフリーです。国宝、重文がこれでもか、と展示されています。ゆっくりと車椅子でご鑑賞ください。修学旅行の団体が来たら、しばらく動かずにやり過ごすのが賢明です。

法隆寺

・最後に夢殿へ

一般的な拝観コースは、この後「夢殿」がある「東院伽藍」へ。この間にある「東大門」はスロープ有り。道は浅い砂利面。それほど苦労なく車椅子で「東院伽藍」へ行くことが出来ます。「夢殿」や「鐘楼」を外部見学。以上で一般的な拝観は終了です。

法隆寺

・駐車場の選択

車椅子利用者は、アクセスは車が便利。駐車場の選択肢は3つ。町営駐車場は1回500円。いくつかある民間駐車場は公営駐車場に比べ、混雑時は高く、閑散時は少し安い値段のようです。もっとも法隆寺入口に近いのは土産屋さんの駐車場。ただしなんらかの買い物が義務になります。乗降スペースをゆったり確保したい人は、町営駐車場が絶対的なスペースが広く、障害者用駐車区画が1台分あります。

法隆寺

・トイレ事情はいまひとつ

障害者用トイレは、法隆寺内と町営駐車場内のトイレに併設。見たところ、どちらもいま一つのトイレでした。チェックできた限りですが、近隣のお土産屋さんには障害者用トイレはありません。車椅子でのトイレ事情はいまひとつ。CVSなど近隣の商業施設で借りることをお薦めします。

 

バリアフリーインフラのレベルはこのような状況ですが、さすがは法隆寺。心に残る拝観になりました。車椅子で困ったら、お寺のスタッフに声をかけて、助けをかりましょう。きっとなんとかなります。

平城宮跡歴史公園(奈良県奈良市2018/06)

~遣唐使船は車椅子で利用可です、快適なバリアフリー施設「朱雀門ひろば」~

 

・全体はとてつもなく広い

国土交通省主管の国営プロジェクト「国営平城宮跡歴史公園」。2018年3月に観光情報拠点「朱雀門ひろば」が開園しました。歴史公園全体はとても広い。車椅子ですべてを気軽に散策できる規模ではありません。第一次大極殿を見たいなら、その近くの駐車場へ停める。そういう行動が必要です。

平城宮跡歴史公園

・遣唐使船に車椅子で乗る

「朱雀門ひろば」のアイコンは「復原遣唐使船」。全長30mで、まるで水に浮いているように設置されています。乗船は無料。スロープ乗船なので車椅子で船内へ行くことが出来ます。乗船口にはスタッフが常駐して案内。天平ルックの貸衣装もあります。

船内は精密に再現されているそうですが、それでも甲板を車椅子で巡ることができます。命がけでこの船で唐を目指した人たち。どのような船上生活であったことか。快適ではなかったことは間違いありません。

 

・交通ターミナル駐車場は有料

車でアクセスした場合、平常宮跡には複数箇所無料駐車場がありますが「朱雀門ひろば」の駐車場は「交通ターミナル」で有料です。この有料の運用ルールが変わっています。そもそも「交通ターミナル」という名称があるように、路線バスやタクシーの円形乗降場です。その中央部を駐車場に活用。有料なのにゲートがありません。

車でターミナルに入ると、すぐにスタッフが手をあげて寄ってきて「駐車しますか」と聞きます。「ハイ」と答えると、その場で駐車券に時刻を記入して渡してくれます。車椅子利用の旨を申告すると「障害者用駐車区画はこちらです」と誘導していただけました。一般駐車場とは違うエリアにある屋根付き駐車スペースです。

料金の精算方法が特殊です。「天平みつき館」と「天平みはらし館」に設置されている販売機で、自分で駐車時間を計算して「時間券」を買います。帰ろうとすると、またスタッフがすっと寄ってくるので、駐車券と時間券を渡す。こういう運用です。お買い物による駐車料金の減免サービスはありません。そして全く告知されていませんが、時間券販売機には「障害者減免券」がありました。正規料金の半額。駐車スタッフに障害者手帳を提示し、障害減免券を渡して無事に出庫できました。

まだ開園して日が浅い「朱雀門ひろば」です。駐車場の運用ルールは、これから進化するのかもしれません。

平城宮跡歴史公園

・施設はすべて快適なバリアフリー

朱雀門広場は2018年オープンの施設。完全バリアフリー設計。車椅子で快適に利用できます。

「天平みつき館」はお土産ショップ。「天平うまし館」はカフェ&レストラン。「天平みはらし館」「天平つどい館」は観光情報施設。いずれもピカピカのバリアフリー。障害者用トイレも綺麗です。

前出の障害者用駐車区画を利用した場合、「天平みはらし館」以外の3棟へのルートは屋根があるので、並みの雨なら濡れずに行けます。ただし暴風雨の場合は吹き込むことが予測される構造です。

平城宮跡歴史公園

・段階整備を推進中

2010年に第一次大極殿の一部が公開。2018年に朱雀門広場開業。平城宮跡はこれからも整備が続きます。順調に進めば、2019年には第一次大極殿を囲む回廊部の公開が始まるかもしれません。第二次大極殿周辺エリアの整備は、まだまだ先の予定です。

 

平城宮跡に新しく誕生した「朱雀門ひろば」は、素晴らしいバリアフリー施設です。安心して車椅子でお出かけください。

薬師寺(奈良県奈良市2018/06)

~薬師三尊像は車椅子で参拝できます、ほぼバリアフリーな法相宗の大本山~

 

・伽藍建物は昭和以後がほとんど

薬師寺は白鳳時代に建立された古寺ですが、東塔以外はすべて焼失し、現在ある構造物は昭和以後に再建されたものがほとんどです。「食堂」は2018年築。「金堂」は1976年に復興。薬師寺全体、想像するよりもバリアフリーです。もちろん車椅子では難しい箇所もあります。詳しく紹介します。

 

・駐車場は広くてフラット

電車の駅からも近いのですが、大きな有料駐車場の用意もあります。駐車場は機械ゲートの前金方式で料金の障害者減免はなし。障害者用駐車区画は用意されています。車椅子での利用に大きな問題はないフラットな駐車場。駐車場から境内へ向かうコースで、現地の状況を記します。

薬師寺

・トイレはやや古い

駐車場から薬師寺に向かいます。この歩行者ルートは舗装されてフラット。車椅子での移動は快適です。駐車場の横に公衆トイレがあり、障害者用が併設されています。清掃されて実用に耐えるトイレですが、設備はやや古い。積極的にはお薦めできないトイレです。

薬師寺に向かう途中に「休ヶ岡八幡宮」「孫太郎稲荷神社」があります。駐車場から100mほど歩くと、薬師寺南門の南受付に到着します。

薬師寺

・障害者減免あり

薬師寺の拝観料は安くはありませんが、障害者手帳の提示で本人と介助者1名分が半額に減免されます。

受付で拝観手続きをして「白鳳伽藍」エリア内へ。最初にあるのは「中門」。スロープ対応です。中門の両サイドに「東塔」と「西塔」があり、正面に「金堂」がある配置。スロープで上る中門の中から見る薬師寺。見事な景観です。

 

・西塔の特別公開は階段あり

国宝の「東塔」は現在解体修理中。2020年に完成予定です。

今回訪問時は「西塔」特別公開中でしたが、西塔内へは階段のみ。ここだけは車椅子で拝観できません。西塔内以外は、ほぼすべてを車椅子で拝観できます。全体としてはバリアフリーなお寺だといっていいでしょう。

薬師寺

・ほとんどが舗装路、スロープ有り

「白鳳伽藍」エリア内の拝観ルートは、ほとんどが舗装路。車椅子の敵、砂利路面を通る必要はほぼありません。これは助かります。

「金堂」内へはスロープで。国宝の薬師三尊像をゆっくり車椅子で拝観できます。金堂内は一周できる構造で、薬師三尊像以外にも拝観すべき像が数多くあります。あまり知られていませんが、薬師三尊像の裏側エリアは必見。時間をかけて参拝したい金堂です。

薬師寺

・新築された食堂はバリアフリー設計

今回訪問時は、完成した「食堂」の特別公開を実施中。2018年の築ですから、そもそもの設計がバリアフリーを意識しています。車椅子での拝観に大きな問題はありません。

食堂前のエリアが、かの有名な多数のハスの鉢が置かれた場所。このエリアは舗装路なので、車椅子で楽にハス鉢の鑑賞ができます。

 

・玄奘三蔵院伽藍へ

「白鳳伽藍」の北受付から出て、更に北へ進むと「玄奘三蔵院伽藍」があります。ここは公開期間しか拝観できません。この院は1991年の建立。平成の施設ですから車椅子での拝観は可能です。

 

東塔以外は新しい伽藍ですが、薬師三尊像をはじめ国宝級の像が放つオーラはやはり凄い。新旧織り交じった独特の世界が、薬師寺の魅力です。想像以上にバリアフリー。車椅子で安心して参拝におでかけください。