かんぽの宿浜名湖三ヶ日(静岡県浜松市2015/08)

~「東京都障害者休養ホーム事業」指定宿泊施設のバリアフリー事情~

 

車椅子都民の味方「東京都障害者休養ホーム事業」。指定のバリアフリー宿泊施設の利用に対して、一定の助成金がでる事業です。

事業の詳細は本稿では触れませんが、その指定宿泊施設である「かんぽの宿 浜名湖三ヶ日」の、たった一つしかない「バリアフリールーム」を利用してきました。

 

昭和時代の1984年に開業したホテルで、以後大規模な改修工事は行われていません。“小規模”な改修で、頑張ってバリアフリーになったホテルです。全体としてはそうとうくたびれてきている印象の施設ですが、それが逆にバリアフリーへの苦労の痕跡が生々しく感じられる、面白い状況でした。

 

駐車場です。車椅子利用で交通手段は車である旨を事前に連絡すると、「駐車場をとっておきます」というお話。どうなっているのかと思いながら現地に行くと、玄関の脇にある出入口に一番近い場所に後付の障害者用駐車スペースが一台分あり、そこに「○○様 ご予約」と大きな縦看板がでていました。

後付の屋根付き駐車スペースですが、屋根はその場だけで、玄関までは繋がっていません。雨が降ったら、エントランスの車寄せ箇所が屋根付なので、そこを上手く使うことになります。

かんぽの宿 浜名湖三ヶ日

チェックイン。たった一つしかない「バリアフリールーム」は2階のツインルームです。補助ベッドの利用で3名までは宿泊可能。部屋の扉は改装された横開きドア。とてもお洒落とは言えない“武骨な”ドアですが、車椅子での出入りは、やはり横開きドアが便利です。

部屋内はトイレ・バスがバリアフリーに改装され、とても広くてフラット。そして手すりをはじめ必要なバリアフリー設備が整えられています。

ベッドからバスにかけて「天井リフト」の設備があります。お部屋のベッドからトイレ、バスにかけての動線で利用できる設定。通常は「リフト」は外されています。今回は利用しませんでしたが、「天井リフト」の利用を希望すれば、吊り下げ式の「リフト」をつけていただけるそうです。

かんぽの宿 浜名湖三ヶ日

天然温泉が自慢のホテルです。温泉が楽しい大浴場は1階。家族風呂の施設はなく、男女別のお風呂だけです。

それでもお風呂自体はバリアフリー。ほぼ、無駄な段差はないお風呂に改装されています。つかまり立ちと、介助歩行ができる人なら利用可能。

一般的な簡易折り畳みタイプですが、浴場内用の車椅子も用意されています。

男女風呂とも内風呂と露店風呂があり、露店風呂へ浴場内用の車椅子で向かうことが出来ます。

数多くの宿泊施設を利用してきましたが、ここの浴場のバリアフリーレベルは、地味ですが案外高いと思います。全く動けないレベルの障害の方は、お部屋で「天井リフト」を使って入浴。多少動ける人なら、浴場での入浴。そういう使い分けになります。

 

食事は1階のレストラン。ここもバリアフリーです。車椅子で段差なく入店でき、食事ができます。

朝食はバイキング方式。車椅子ユーザーは、介助者やホテルスタッフに助けてもらい、お好みの食事をいただきましょう。

 

1階のパブリックゾーンに、障害者用トイレが設置されています。いかにも後付タイプですが、広くて綺麗。利用に問題はありません。

 

館内のエレベーターは一基のみ。最近リニューアルしたと思われる新しいエレベーターです。4階構造のホテルなので、3階4階のお部屋の人は、1階との往復にエレベーターを利用する人が多いようです。

 

利用した日は満室状況で、チェックアウトのピークタイミングのときは、エレベーターが混んでいて一回見送りました。それでもその程度の混み方です。心配はいりません。

 

はっきり言って、外観内装とも、そうとうくたびれている施設です。それでも、お部屋、お風呂、食事処と、ポイントになるところは、頑張って改装してバリアフリーになっています。

 

それにしても「うなぎ」は高くなりました。お料理の一品メニューで、浜名湖のうなぎの蒲焼または白焼きは、一本3000円です。うなぎ好きな方は、お財布に余裕をもって、車椅子でお出かけしましょう。

JAみっかび特産センター(静岡県浜松市2015/08)

~「みかん」の聖地「三ヶ日」の産直ショップ、「みかん」がない季節は何を売っているのか~

 

三ヶ日といえば「みかん」。日本を代表する「みかん」ブランドです。「JAみっかび」さんのHPによると、「早生みかん」が10月から始まり、「青島みかん」が2月まで。「ネーブル」や「清見」は3月4月となっています。

では夏はどうなっている、という疑問をもって8月の「JAみっかび特産センター」に行ってみました。

 

「JAみっかび特産センター」は東名高速三ヶ日ICのすぐ近く。アクセス抜群の立地です。インターを降りると「ミカちゃん」のオブジェが出迎えてくれます。

広い駐車場にある建物は、実は「青島みかん」のミカン箱をイメージしたデザイン。言われてよほどその気になって見ないと、ミカン箱には見えませんがそれはご愛嬌。「みかん」の聖地に来た、という気分で盛り上がりましょう。

 

駐車場はバリアフリーへの格別な配慮はありませんが、フラットで広いので問題はありません。そして車椅子の場合、建物の入口へはスロープの利用になります。建物の売り場もフラットで通路幅は並みレベル。団体客が来て混雑している状況を避ければ、車椅子での利用に大きな問題はありません。今回訪問時は、他にお客さんは無しの貸し切り状態でした。

 

やはり8月。さすがの三ヶ日にも、生の「みかん」はありません。ただし冷凍みかんはありました。その名は「氷蜜柑」。1個250円。皮をむいてから凍らせている逸品です。特殊冷凍技法により、組織を破壊せずに冷凍出来ているそうです。お好みの解凍具合で召しあがれ、というご案内です。

 

そして「みかん」系加工品は嵐のごとく。ジュースだけでも10種類くらいはあります。「みかんチーズケーキ風アイス」「みかんチョコアイス」など、どういう味なのか解らないもの。「みかんゼリー」などの超定番もの。そして「みかんの焼肉のたれ」も。お菓子系も多彩な品揃えです。通年商品だけでも商売になる、三ヶ日の産直ショップです。

 

しかし一般的な野菜や果物は、少しはありますが、ほぼなにも売っていません。JAの産直ショップで、ここまで単一商品に絞り込んだマーチャンダイジングをしているお店は、他にあるでしょうか。「みかん」一色で、余所見無し。ホウレンソウやネギなら、よそで買ってくれ、という男気です。

JAみっかび特産センター

「JAみっかび」さんは、実質「みかん専門」のJAなのでしょうか。よく考えて見れば、みかん畑で他の農産品を“二毛作”できるとは思えません。みかん畑しかなく、そこで「みかん」を栽培している農家は、実質的にみかん専業農家になるのでしょうか。そうなると万が一でも“不作”になると、リスクヘッジが全く効かないので、収入が激減する可能性も。「みかん」や「りんご」などの生産商売は、大変です。

 

組合員数は2700人を超える「JAみっかび」のリアル産直ショップです。「みかん」を栽培している農家さんは、夏場は「摘果」の作業が忙しいはず。美味しい「みかん」、三ヶ日ブランドを誇る品質の維持のために、暑い中の作業が続いています。

 

そういう農家の現場の苦労を思いながら、今はしかたがありません。「氷蜜柑」を食べながら、収穫の季節を待ちましょう。

長坂養蜂場(静岡県浜松市2015/08)

~浜名湖観光客に大人気、三代目が頑張るバリアフリーなハチミツショップ~

 

浜名湖畔にあるハチミツショップです。今回訪問時はあいにくの雨、それもひどい雨。この悪天候に関わらず、駐車場はほぼ満車。とても人気のあるお店です。

 

今回悪天候の中を訪問して、このお店の人気の秘密がよりリアルにわかりました。駐車場のもっとも店舗よりの区画が障害者用駐車スペースです。店舗はバリアフリー。店内には障害者用トイレが完備されています。

 

実はこちらの店舗。日本郵便が主催する「全日本DM大賞」で、2015年2月に金賞を受賞しました。

店舗で購入したお客様に、購入してから「38(ミツバチ)日後」に、とてもかわいくデザインされた「380円」クーポンのついたDMハガキが届くそうです。

店舗で購入するお客様のほとんどは浜名湖観光に来た人。ということでDMハガキには、浜名湖を思い出す図案の切手が、あえて5枚貼られているそうです。

ここまでを聞いただけで、“そそられる”マーケティングではありませんか。

 

さて、実店舗の様子です。店内のセールスプロモーションの肝は“試食”。ハチミツ及び関連商品の試食が楽しめます。商品は品質重視。安かろうではなく、イイものをそれなりの値段で売るポリシー。皆さん大雨の中をわざわざ来ているお客さんですから当たり前かもしれませんが、何も買わないお客さんはいない状況。来店客購買率100%の店舗とみました。

 

大雨の中で用意されていたのは「タオル」と「傘」。店舗入口近くに「タオル」が大量に置かれて「どうぞお使い下さい」という案内です。

また、店舗出入口には「傘」が用意され、駐車場との行き来に使えます。

お年寄りや子供には、店舗スタッフが傘をさしかけて車まで一緒に行っているシーンもありました。

悪天候の訪問だったからこそ見えた、お店の“おもてなし”です。

 

浜名湖観光のついでに店舗に寄ったお客様を、心のこもった“おもてなし”と“試食”で歓待する。

高品質の商品を買ってもらい、味のファンになってもらう。

ちょっと忘れたころに、DM大賞で金賞を受賞したハイクオリティなDMが届く。

そして近年力を入れているのは「通販」。ネット通販でリピーターを掴む。

これが「長坂養蜂場」のマーケティングの全貌です。やりますね。

 

現在「三代目」にあたる直系兄弟のお二人で、経営を頑張っているそうです。

看板商品の一つが「二代目の蜂蜜」。三代目兄弟の“お父さん”のハチミツ。秘伝のブレンドが美味しさの秘密、ということです。

通販販売価格は200g750円から。安い商品ではありません。現在年商5億円、通販比率が30%、従業員は約30人という情報があります。たいしたものです。

長坂養蜂場

全世界的に、ミツバチの異常行動が問題になっています。コロニーを形成しない、女王蜂が子を産まない、ハタラキ蜂が働かない。真相原因は不明。環境物質の影響などの可能性が指摘されています。健康的で、安全安心なハチミツが、いつまでも手の届く値段で買えることを願います。

 

地方の小企業のビジネスとして「長坂養蜂場」のマーケティングは勉強になります。さらなる企業としての発展を目指して、この先はぜひ「健康」「安心」そして「地球環境」を視野に入れた商売を目指してください。「ナチュラル」と「エコ」がキーワードだと思います。新商品開発や新セールスプロモーション。期待します。