辻堂駅周辺(神奈川県藤沢市2015/06)

~車椅子ユーザー注目、湘南随一のバリアフリータウンに進化中のホットスポット~

 

駅北口の再開発がガンガン進行中の辻堂。いつかは湘南に住みたい、湘南移住願望の車椅子ユーザーは注目。今や湘南随一のバリアフリータウンです。

 

三浦半島の東側から西湘の大磯・二宮くらいまでを湘南エリアと広範にみても、残念ながらほとんどバリアフリータウンはありません。

 

葉山や逗子。イメージは最高ですが、狭い道路歩道の状況、アップダウンのある住環境、バリアフリーショップの不足など、車椅子での生活には不自由があります。

鎌倉しかり。江ノ島周辺もしかり。江ノ島を西に超えると、アップダウンは緩やかになりますが、茅ヶ崎、平塚あたりも、まだまだ旧タイプの施設が主力です。

 

そんな湘南エリアのなかで、辻堂北口はピカピカです。辻堂駅はエレベーター完備。駅直結でテラスモールがあり、生鮮のお買い物もバッチリできます。

 

周囲には新しいマンションが建ち、モールや駅にも抜群のバリアフリーアクセスを誇ります。病院も出来てきています。まだまだ更地が広大にあり、これからのバリアフリー施設の発展が期待されます。

 

圏央道が開通し新湘南バイパスに直結しました。東京都心部から、首都高速、東名高速、圏央道、新湘南バイパスと、一度も一般道路を通らずに辻堂に行けます。空いていれば1時間程度。ただ、それほど空いていることは珍しいとは思いますが。

 

辻堂。70年代から80年代のサーファー文化花盛りの時代、辻堂はブランドでした。今でも、自転車にボードをつんで走るサーファーが大勢住んでいる街です。

 

駅の南側に行くと、湘南工科大学のキャンパスがあり、その先には広大な辻堂海浜公園が広がります。この辻堂海浜公園は、バリアフリーに気を配った公園。ユニバーサルカヌー体験会という、障害児が乗れる特殊なカヌーを使用したイベントが年に春と秋に開催されるくらいです。

公園の先は海。辻堂海岸が広がり、左には江の島、右には茅ヶ崎の烏帽子岩が見えます。

 

テラスモールは勿論完全バリアフリー施設。車椅子での利用に何の問題もありません。この商業施設の開業インパクトが強烈です。休日の夕方は、残念ながら周辺道路は渋滞しますが、仕方がないでしょう。シネマ、書店、ファッション、家電、生鮮・・・。なんでもあるので、ここに車椅子で来ることができれば、日常生活に不便はありません。

辻堂駅周辺

もっとも、いつも同じところに行っていると、飽きてくるのが人間ですが、今のところ残念ながらテラスモール以外は、中小施設。隣の「Luz湘南辻堂」も、6階建ての施設ではありますが、インパクトはあまりありません。

 

どうせ住むなら“海がみたい”。辻堂駅北口のマンションの何階以上に住むと、部屋から海がみえそうでしょうか。前出の「Luz湘南辻堂」のシースルーエレベーターからみると、4階フロア以上で海が見えます。駅近マンションの階層に「Luz湘南辻堂」の4階をあてて見ると、おおよそ6階くらい。

一つの目安として、辻堂駅北口再開発エリアのマンションの6階以上の部屋なら、海が見える可能性が高いとご理解ください。もちろん保証はできません。現地現場でご確認ください。

辻堂駅周辺

辻堂駅周辺エリアにも、課題はあります。北口の再開発エリア以外は、全くバリアフリーではありません。細い道路、狭い歩道をイメージしてください。区画整理も出来ていないので、道もひねくれています。碁盤の目とは、真逆の状況をご想像ください。

そして渋滞。バブル期よりはよくなったと思いますが、休日、夏場を中心に、周辺道路広域でひどい渋滞になります。

 

障害のある人の住まいを考える場合、住居、交通機関、商業施設とともに、病院、通所施設などの福祉施設、学生なら特別支援学校、障害者も利用できるスポーツ施設、いろいろと便利に、かつ自分に合った施設が近隣に必要です。そういう懐の深いインフラ施設は、まだまだこれからの課題でしょう。

 

バリアフリータウンになっていくには、障害のある人が大勢住むようになり、様々なニーズが発生し、行政も絡んで動いていく、こういう積み重ねが必須です。その意味では、熟成されたバリアフリータウンになるには、きっとまだまだ時間がかかるでしょう。

 

そんな街です。湘南好きの車椅子ユーザーは、辻堂に注目してください。

東京藝大構内「トーキョー・ブリュット展」(東京都台東区2015/12)

~都内三カ所で開催される、障害のある人によるアート作品の展覧会~

 

東京藝大構内「アーツ&サイエンスラボ」という建物の1F会場で開催された「トーキョー・ブリュット展」。プロの作品から一般公募の作品まで、様々な障害を持つ人のアート作品の展覧会です。本会場の開催は2015年12月1日から12月6日。入場無料のイベントです。

 

会場は奏楽堂のあるほうの上野の藝大キャンパス。キャンパスの正面入口から入ると右手に向かいます。

キャンパス内のやや傾斜のある路を進みますが、車椅子での通行は十分に可能。会場は1Fのワンフロア。会場入り口及び場内はフラットなので、車椅子での鑑賞に問題はありません。

 

全体で30坪程度の会場です。それほど広くはないので、混みあうとやや車椅子では苦戦する可能性はあります。混雑がそれほど長時間続くこともないでしょうから、車椅子での鑑賞は、空いているタイミングをみて会場内に入りましょう。

 

会場いっぱいに展示されている作品たち。会場入り口からみて、右側の約半分は著作権の問題で写真撮影不可。左側の半分は撮影可。作品の背後の壁面の色が撮影不可作品とそれ以外で色違いになっていて、著作権の在り方が解り易く表現されています。

東京藝大構内「トーキョー・ブリュット展」

著作権を主張する撮影不可の作品は、さすがに芸術としての迫力が違います。よくぞこれほど根気がいる作業をした、と感心する作品。こういう見方ができるのか、と驚く作品。そういうような、精神や知的な障害との関係を全く感じさせないモダンアート作品。様々です。

 

撮影フリーの作品は、みな作者の勢いや感性をストレートに感じさせるアート群。絵画、彫像系、立体アートものなどが並びます。施設や学校、お教室などでの製作風景が目に浮かぶよう。いずれの作品も、得意な表現手法で関心のあるテーマを表現していると思われます。粗削りなアートの魅力を堪能しましょう。

 

「ブリュット」はフランス語で「生のまま」「加工されていない」「磨かれていない」などの意味をもつ言葉だそうです。東京及び近隣県の福祉施設や病院などで生れたアートを、今回は都内三カ所で展示。「都立中央図書館」では2015年11月28日から12月9日。「なかのZERO」では2016年2月17日から2月21日の開催。それぞれの会場で、展示作品は替わるそうです。

 

約20の福祉関係団体が参加。主催は社会福祉法人「愛成会」さん。その活動は終戦年1945年にまでさかのぼる歴史ある法人です。

東京藝大構内「トーキョー・ブリュット展」

「トーキョー・ブリュット・プロジェクト」は厚生労働省の「障害者の芸術活動支援モデル事業」に認定されています。展覧会などを企画するだけではなく、芸術活動を望む障害者の相談にのる。障害者アーティストを発掘する。また関わる人材を育成する。障害者の著作権保護活動も行うプロジェクトです。

 

その発表の為のイベントがこの「トーキョー・ブリュット展」。まだまだ一般的な知名度はありませんが、とても頑張っているプロジェクトです。

 

障害のある人、特に精神や知的な面で障害のある人が、芸術で自分を表現して評価される。さらには、仕事として成立して収入も得られる。それによって生活が自立安定する。こういうことになれば素晴らしいことです。

 

先ずはアートに興味のある障害のある人にとって、教育を受けて活動をする場があり、そして発表する機会があること。こういう社会を実現したいものです。

 

「トーキョー・ブリュット・プロジェクト」を応援しましょう。

藝大アーツ2015(東京都台東区2015/12)

~毎年12月の第一土日に定例開催、藝大主催「障害とアーツ」の一大イベント~

 

2015年も開催されました。上野の東京藝大を会場にした「障害とアーツ」。「藝大アーツ2015」、展覧会は12月1日から12月6日、コンサートは12月5日と6日の両日開催。藝大「奏楽堂ホール」で12月6日に開催された「メインコンサート」に参加しました。コンサートのタイトルは「聞こえる色、見える音」。藝大各課の総力を結集した企画イベントです。

東京藝術大学「藝大アーツ2015」

車椅子利用ということで事前に藝大に相談をしたところ、「奏楽堂ホール」横の駐車場の利用を許可していただけました。これで雨でも安心。もっとも、当日は好天でしたが。ただ、駐車希望者があまりに増えると限界があります。キャンパス内では身体障害の人の乗降だけ、健常者が車を運転して外部の駐車場に停めに行く、などの譲り合いルールが、いずれ必要になってくるでしょう。

東京藝術大学「藝大アーツ2015」

メインコンサートの開場は14時。14時前には「奏楽堂ホール」に100人ほどの開場待ちの列が出来ました。年々人気が上っています。

コンサートの出演者は、藝大教授など超一流の音楽家、それで入場無料です。それでも、まだ今年は「奏楽堂ホール」は半分くらいの入り。いずれ知名度があがると、整理券の入手が大変になりそうなイベントです。

 

ちなみに「奏楽堂ホール」の障害者用トイレは、B1の男女別トイレの中にあります。上下階移動は、一基設置されているエレベーターをご利用ください。

東京藝術大学「藝大アーツ2015」

会場内には、障害のある人が描いた絵画などの作品が展示されているので、こちらもご覧ください。

 

今年の海外からのゲストはカンボジアの視覚障害アーティスト。カンボジアの伝統弦楽器の名手です。イベントの推進者である藝大副学長松下先生の専門がアジアの音楽。そういうご縁で、毎年アジア各国から、障害者をもつアーティストが参加していただけます。

 

メインコンサート、冒頭のプログラムは、恒例となった、ダウン症の書道家金澤翔子さんの揮毫。今年の字は「和」。力強い書が描かれました。

金澤翔子さん、2015年は国連で英語のスピーチをするなど海外でも大活躍。その際の面白い逸話を、お母様が紹介されていましたが、今後の講演でのネタバレになりそうなので、ここではあえて内容は書きません。

東京藝術大学「藝大アーツ2015」

ラヴェルの「左手のためのピアノ交響曲」をご存じでしょうか。第一次世界大戦で右手を失ったピアニストからの依頼で、モーリス・ラヴェルが1930年に完成させたピアノ協奏曲。左手だけで弾く曲です。この難曲を、藝大ピアノ科青柳准教授が演奏しました。約20分の協奏曲、左手一本、圧巻の演奏です。

青柳先生の演奏後のお話では「10年前に取り組んだ時には全く弾けずに、ピアノをやめようかと思った」とおっしゃっていました。

 

メインコンサートの最後は、障害のある人を、オーケストラと一緒のステージに上がってのコンサート。奏者の間、すきなところに座ってもらいます。

今年から、車椅子の人もステージへ。学生ボランティアさんがマンツーマンでついて、車椅子の人を舞台の袖からステージに案内します。

オーケストラは「藝大フィル」。そして藝大の映像科の皆さんがつくった、照明、映像がステージやビジョンで、音楽と同期します。これが「聞こえる色、見える音」です。

藝大の先生、スタッフ、学生が本気でやってくれるアーツ。ハイレベルです。観て、聴く価値、あります。

 

イベント最後のご挨拶で、副学長の松下先生が「来年もやります、毎年やります」と宣言されていました。松下先生は、日頃から福祉活動に実践的に参加されています。有言実行、また来年「障害とアーツ」が開催されることを願います。