車椅子で新幹線に乗る

その昔、アンドレ・ザ・ジャイアントというプロレスラーが、狭い新幹線の乗車口を通るのに人に押してもらって入った、という逸話がありました。新幹線は乗降口も通路も、結構狭いのです。狭いということは、すなわち車椅子にとっては鬼門。ただし、特別な仕様の席と車両があります。十分な準備をして、快適に利用しましょう。

 

比較的軽度な障害の車椅子ユーザーの場合です。つかまり立ち、介助歩行くらいなら出来て、使用する車椅子もペッタンコに折りたためるようなタイプの人で、且つ介助者も同行している。こういうレベルの人なら、車椅子の置き場さえ確保できれば、何とかなるはずです。狙い目は各車両の進行方向一番後ろの席です。シートの後ろの壁との隙間に折りたたんだ車椅子が入るようなら、シメタモノです。

空いている状況であれば、当日駅に行ってから、窓口で座席指定をして、乗降の時のスロープだけ駅員さんに支援してもらえれば、新幹線を利用できるはずです。通常の洋式便器のトイレで用が足せるなら、怖いものなしです。

車椅子で新幹線に乗る

さて、重度の人の場合です。ほとんどの新幹線には、一両だけ、広い乗降口、車椅子用のスペースまたは車椅子が入る多目的室、そのそばには車椅子用のトイレが設置されている車両があります。何が何でもここを押さえましょう。

現時点ではネット予約はまだできません。主要な駅の窓口に行くか、電話するかをして、アナログに予約します。予約は早いもの勝ちです。希望の列車を押さえるには、売り出し直後にすぐに予約を入れましょう。

 

この予約した時点で、利用駅の何処に、何時までに来てください、という話があります。駅員さんが誘導してくれるのです。この指定時間が、妙に早い時間なのです。なんでそんなに早くいくの、というくらいです。覚悟をしてください。それでも現在では、ほとんどの新幹線の駅はバリアフリー化されています。昔に比べれば、指定時間は遅目になったと思います。

車椅子で新幹線に乗る

さて、当日駅に到着です。集合場所に行きます。駅員さんが迎えに来てくれ、誘導してもらえます。余裕をもって、ホームの乗降口に到着するはずです。

 

列車が到着。スロープを敷いてもらって乗車です。予約した車椅子スペースや多目的室まで、案内をしてもらえます。駅員さんのサポートは、原則ここまで。重度障害のある人のリスクのある座席への移動の介助などは、原則してもらえません。トイレの介助もダメです。もちろん医ケアなどは出来ません。こういうことは、本人及び介助者だけで完結させることが原則です。障害に応じて、必要な準備をして乗車してください。

 

目的地に到着、降車です。駅員さんがまた降車を誘導してくれます。在来線への乗り換えが、あまりバリアフリーではない駅もあります。そういう場合は、もちろんそこまでサポートしてもらえます。不慣れな駅でしょうから、遠慮せずに駅員さんを頼ってください。

 

JR系は、運賃の障害者割引があります。お得な切符もいろいろあるので、それとの比較ではありますが、賢く利用しましょう。

 

新幹線は車椅子でフリーに飛び込みで利用しようと思うと、大変な目に合います。必ず十分な準備をして、ご利用ください。

車椅子で電車に乗る

車椅子でもお出かけの時代。駅のバリアフリー化もどんどん進んでいます。障害のある人が電車に乗ることが一般的になってきました。車椅子利用者からみた、電車に乗る際に考えていることをご紹介します。

 

スムーズな移動を目指して、駅構内のアクセスルートを研究します。実際にまだまだ多いのは、北口からならバリアフリー、南口はダメ、という駅です。本当に多いですよ。近年は駅の構造がHPで紹介されているので、事前調査が楽になりました。利用したい駅のバリアフリー構造実態をネットで調査する、これが最初に行うことです。

 

バリアフリーではない駅の場合です。どうしても利用する場合は、事前に駅に連絡をして、受け入れ態勢を組んでいただきます。駅員の頭数の問題があるので、できれば前日までの連絡がいいようです。

 

一昔前まではよくあった光景ですが、最終手段は「担ぎ上げ」です。屈強な駅員さん4名で、車椅子を持ち上げて階段を登ってくれます。さすがに近年はめったに見なくなりました。

 

地下鉄など地下から地上に出る構造の駅の場合、地上に出るエレベーターがどこにあるのかをよく調べます。

そういっては何ですが、けして便利な場所にエレベーターがあるとは限りません。

土地勘のない駅で、エレベーターを探して乗って地上にでると、自分が何処にいるのか解らなくなります。目的地と地上出口の関係を理解しておくことが重要です。

車椅子で電車に乗る

バリアフリー構造の駅の場合でも、車椅子で利用すると駅員さんが必ず声をかけてくれ、乗車をサポートしてくれます。よく見かけますよね、あれです。このレベルのサポートで済む駅だと、事前に連絡を入れずに利用する車椅子ユーザーが多いようです。降車駅を聞かれるので話しておくと、到着時で駅員さんが待っていてくれます。優しいですね。

 

さて、問題は混雑時間帯に利用したい場合です。これは車椅子ユーザーも悩みます。はっきり言って、駅構内も車内も、人迷惑ですよね。基本はラッシュ時には利用しない、につきます。

ということで、車椅子ユーザーは、郊外に住み、普通の時間帯に、公共の交通機関で通勤通学することが難しいのです。これは難しい問題です。駅のバリアフリー化などでは、解決の糸口さえ見えない課題です。

車椅子で電車に乗る

電車も稀に急停車することがあります。空いている車内で乗車しているとき、車椅子の向きをどうするのが正しいのでしょうか。

 

電車の場合、急発進はあまり想定できません。あるのは急停車です。したがって、進行方向後ろ向きだと、急停車で頭が後ろにガクッとなる可能があります。また車椅子の場合、前後に力が加わると、ブレーキをかけていてもタイヤの向きにそって動いてしまいます。

 

ということで、車椅子を進行方法の横に向けて乗車するのが安全なのではないかと、研究しています。ちなみにホームで電車を待つ際は、転落防止のため、横向きで待つことがはっきりと推奨されています。

 

バリアフリー化が進んだとはいえ、やっぱり電車は大変です。特に雨に日はダメですね。こんなことを考えながら、車椅子ユーザーや介助者は電車を利用しています。

車椅子で路線バスを利用する

一般の路線バスに、車椅子マークがついているのが普通になってきました。低床式、ノンステップバスというタイプの車両です。昔は床下に合ったエンジン等を、車体後部に搭載することで実現した構造です。車椅子ではない一般の人も、バスの前半分は利用し易いですね。その代わりに、バスの後ろ半分の座席部は、段差があり高くなっていることが多いですが。

 

さて、実際に車椅子で乗車するとどうなるのか、再現します。

 

バス停にて車椅子でまっています。バス到着、当然ワンマンバスです。運転手さんが降りてきて、バスの乗降口にスロープを取り出して設置してくれます。介助者がいない場合は、運転手さんが乗降の介助も行ってくれます。

車椅子で路線バスを利用する

そして車内へ。バスは車なので、しっかりと車椅子を固定しないと危険です。バスの所定の座席がたためて、車椅子の固定場所になります。ここに座っている人がいたら、どいてもらいます。そして、座席をたたみ、車椅子を固定する作業を運転手さんが行います。そして出発です。

 

ということなので、時間がかかります。手際よくやっても5分近くはかかるでしょうか。同乗客はちょっと「イラッ」ときます。更にガラガラではない場合、座っていた人がどかされて、立ちになります。混んでいるときは、もはや車内は大混乱になります。

 

正確な統計数値はありませんが、バスでの車椅子乗車に関するトラブルは、そうとう多いようです。降車するときも同様です。固定ベルトを外して、スロープを出して降車して、座席を戻します。

 

という状況になるので、正直に言って、車椅子で一般路線バスを気軽に利用する気にはなりません。始発のバス亭から終点までの利用など、限られた状況以外は、バスの利用は困難を伴います。日常的な足として、路線バスを利用している車椅子ユーザーはほとんどいないはず。残念ですが、それが実態です。せっかく多くのバスに車椅子マークが付いていますが、運用が難しいですね。

 

今後の技術的な進化を想像しても、ガラガラの路線以外は、車椅子での路線バス乗車を円滑にすることは難しいと思います。社会全体のコストのかけ方としては、一般路線バスの車椅子に対するバリアフリー化投資よりは、その分を福祉タクシーへの助成を増やすなどに回した方が実際的だと思います。

 

現実の利用者としては、路線バスの車椅子マークを見るたびに、違和感を覚えます。