第22回NHKハート展(東京都渋谷区2017/05)

~今回は中高年障害者の作品が多い印象です、50篇の詩とアート作品の展示会~

 

・今年も開催、全国巡回が始まります

障害者の詩を題材に、アーティストが作品を提供する「NHKハート展」。今年も開催されます。スタートとなる東京展が、渋谷の東急本店で5月6日までの開催。早速今回も行ってきました。3,641編の詩の応募から選ばれた50点の展示会です。

 

・今回は大人の作品が多い

会場内には、第一回からの図録が置かれ、自由に閲覧できます。気が付くと第22回。初回から22年のもの歳月が流れました。

初期の頃は、肢体不自由の支援学校に通う、小学生や中学生の詩の作品が多かった記憶があります。数年前から、精神障害の方の作品が増える傾向が続きました。

そして今回は、これまでに比べて中高年の方の作品が多い印象。あくまで相対的なことですが、長く障害とともに生きてきた、ベテランの詩の比率が高い気がします。中途障害の方、大人になってから難病を抱えた方などの作品も。

その影響か、健常者の感覚とはかけ離れた、ハッとするような詩は、今までに比べると相対的に少ない印象を受けました。もちろん、それが悪い訳ではありませんが。

第22回NHKハート展

・アーティストの作品も、無難なものが多い

かっとんでいる詩が少ない為か、作品も想像の範囲のものが多い印象です。あくまで個人の印象ですが、この詩にして、この絵か、という驚かされる作品は、あまりありませんでした。ハート展初期の頃から、長年作品を見てきているモノだけの、特殊な感想でしょう。けして今回は質が低いと言っているのでありません。

 

・求む、言葉の天才

障害のある人、といっても、千差万別。知的能力、コミュニケーション能力も人それぞれです。過去の作品の中には、驚くような言葉を紡ぐ、常識の枠を軽々と越えた詩も多々あります。そういうもの凄い詩を見るのが、NHKハート展の醍醐味の一つ。障害者だからという評価ではなく、天才的な言葉の才能にまた出会いたい。

そういう才能をもつ障害者は、おそらくは自分だけではNHKに詩の応募はできないはず。障害がある人の周囲にいる方。その人の才能に気が付いてあげて下さい。そして是非、ハート展へ応募して下さい。

 

 

第22回NHKハート展は、東京の次は札幌で開催。以後全国を巡回します。ぜひ地元で作品をご覧下さい。

障害のある人と音楽

障害のある人と音楽

聴覚障害の方は別にして、多種多様な障害のある人にとって、音楽は重要な人生のパートナーであることが多いようです。

 

植物状態の重症者でも、実は聞こえているケースがあるといいます。人生の最後を迎えるとき、最後まで残っている感覚は聴覚だという説もあります。

 

世界中の民族が音楽を愛しています。音楽は人間の根源に働きかける力があるのでしょう。

 

生まれつきの障害がある、それも重度の障害のある方で、音楽が大好きな方を大勢知っています。

 

楽しみ方は人それぞれです。じっと静かに聞いている人、音楽に合わせて動かせる部位で踊る人、声を出して一緒に歌う人。通常はコミュニケーションがうまく出来ないレベルの重度障害の方でも、音楽を楽しんでいることがよくわかる方が大勢います。

 

実際、障害児に対する教育療育の活動の中でも、音楽は重要な役割を果たしています。音楽活動を取り入れていない特別支援学校は、おそらくないでしょう。通所施設、入所施設の活動でも、音楽活動は積極的に行われています。

 

ただちょっと気になるのは、こういう教育療育の活動の中で採用される音楽は、いかにもそういう感じの音楽とでも言いましょうか、簡単で、解り易くて、障害児・者でも親しみやすいと健常者側が勝手に想像する音楽、悪い言い方をすると音楽的にはレベルの低いものが多いように感じます。

 

極端な例ですが、老人福祉施設で「むすんでひらいて」をやったりしても、まともな老人が楽しいわけがありません。それと同じような思い込みによる勘違いが、教育療育の現場にはあります。

 

音楽を提供する健常者側からみると、障害のある人を子ども扱いしたくなるのも解らなくもありませんが、10歳、15歳、20歳、30歳・・・と、障害のある人も解りにくいですが、年齢とともに精神は成長しています。いくつになっても、幼稚園レベルの音楽で「楽しいでしょう」というのは間違いです。残念ながら、福祉の現場にはこういう勘違いをしている先生やスタッフが、確かにいます。

 

むしろ積極的に、一流の音楽、多彩なジャンルの音楽に接する機会をつくってあげるべき。クラシック、ロック、ジャズ・・・、演歌や民謡が好きな障害のある子も知っています。

 

生の演奏に触れる機会もあるといいですね。音楽は教育療育の方法としても効果的ですし、日常の生活を豊かにする糧でもあります。

 

自分から働きかけや表現が上手にできない人にも、一流の音楽、多彩な音楽に触れる機会をつくってあげましょう。

知的な障害のある人、絵を描く

知的な障害のある人、絵を描く

図画工作が大好きな障害のある人、大勢います。

 

そんな活動をしている社会福祉法人の教室によく出入りをしています。原則月に一回、約3時間コースの教室です。自由に活動できる部屋が用意されていて、クレヨン、マジック、大小各種の画用紙などが用意されています。

 

途中に3時のお茶タイムあり。最後には一人一人の作品の発表会が行われます。一人で来る人、ヘルパーさんと来る人、家族と来る人、様々です。そこにいる人のことを紹介させていただきます。

 

毎回「雨」がテーマのAさん。30代後半くらいの男性です。

カラーマジックで雨粒を表現した点を沢山描きます。お教室の製作時間中、2時間以上、集中して点を描きます。よそ見もおしゃべりもなしです。終わり、となっても、中途半端な状態では止めません。一枚を描ききるまで、人の発表を聞かずに描きつづけます。

毎回、大判サイズの画用紙なら、5~6枚くらい、雨粒だらけの作品を仕上げます。ただし、発表は苦手です。前にでても「アメ」とひとこと言って、立っていることが多いです。

 

独特の抽象風景画を描くBさん。40代くらいの女性です。知的障害の人の絵画展などでよく見るような、独特のセンスの絵を描く人です。

一般にイメージする障害者的な絵を描くという意味では、このお教室の中で、一番上手な人でしょう。描いているときは、ピリピリと集中しています。

一度、隣にいた知的障害のある人が作業台のテーブルクロスを引っ張って、描いている画用紙が動いてしまったとき、ヒステリックに怒り出したのをみたことがあります。日常的にも、他者とのコミュニケーションは苦手な雰囲気です。そういう面も、健常者がイメージする絵の好きな障害者のステレオタイプに近い人ですね。

 

さて、毎回教室の発表会で「トリ」を務めるのが恒例になっているCさん。30歳くらいの男性。一人で自転車に乗ってくることができるレベルの人です。

Cさんの絵は、絵と文書で構成されます。非常に細かいタッチの絵に、これまた大変小さな字をびっしりと書きます。他人が読める字です。文章もよく読むと、おおよその意味は解るレベルです。

例えばある日の作品です。星と宇宙をイメージした絵と、タイムマシンをイメージした絵、それに文章がびっしり。発表会での本人の解説を要約すると、2030年にはタイムマシンがあり、それに乗って知的障害者も自由に時間と空間を移動できるようになって・・・・。そういうことを絵と文章で表現しました。

Cさん、発表の時間以外は一切しゃべりませんが、発表の自分の番になると、エンドレスのマシンガントークになります。毎回「トリ」なのは、時間だからおしまい、といしない限り、発表が終わらないからです。

ただし、時間不足や、自分なりに納得する作品が出来なかった時は、発表を拒否します。コダワリのCさんです。

 

製作態度、作風も皆さんそれぞれです。絵を描くことが好きな人、自分のやりたい芸術を、どうぞ楽しんでください。