東京藝大構内「トーキョー・ブリュット展」(東京都台東区2015/12)

~都内三カ所で開催される、障害のある人によるアート作品の展覧会~

 

東京藝大構内「アーツ&サイエンスラボ」という建物の1F会場で開催された「トーキョー・ブリュット展」。プロの作品から一般公募の作品まで、様々な障害を持つ人のアート作品の展覧会です。本会場の開催は2015年12月1日から12月6日。入場無料のイベントです。

 

会場は奏楽堂のあるほうの上野の藝大キャンパス。キャンパスの正面入口から入ると右手に向かいます。

キャンパス内のやや傾斜のある路を進みますが、車椅子での通行は十分に可能。会場は1Fのワンフロア。会場入り口及び場内はフラットなので、車椅子での鑑賞に問題はありません。

 

全体で30坪程度の会場です。それほど広くはないので、混みあうとやや車椅子では苦戦する可能性はあります。混雑がそれほど長時間続くこともないでしょうから、車椅子での鑑賞は、空いているタイミングをみて会場内に入りましょう。

 

会場いっぱいに展示されている作品たち。会場入り口からみて、右側の約半分は著作権の問題で写真撮影不可。左側の半分は撮影可。作品の背後の壁面の色が撮影不可作品とそれ以外で色違いになっていて、著作権の在り方が解り易く表現されています。

東京藝大構内「トーキョー・ブリュット展」

著作権を主張する撮影不可の作品は、さすがに芸術としての迫力が違います。よくぞこれほど根気がいる作業をした、と感心する作品。こういう見方ができるのか、と驚く作品。そういうような、精神や知的な障害との関係を全く感じさせないモダンアート作品。様々です。

 

撮影フリーの作品は、みな作者の勢いや感性をストレートに感じさせるアート群。絵画、彫像系、立体アートものなどが並びます。施設や学校、お教室などでの製作風景が目に浮かぶよう。いずれの作品も、得意な表現手法で関心のあるテーマを表現していると思われます。粗削りなアートの魅力を堪能しましょう。

 

「ブリュット」はフランス語で「生のまま」「加工されていない」「磨かれていない」などの意味をもつ言葉だそうです。東京及び近隣県の福祉施設や病院などで生れたアートを、今回は都内三カ所で展示。「都立中央図書館」では2015年11月28日から12月9日。「なかのZERO」では2016年2月17日から2月21日の開催。それぞれの会場で、展示作品は替わるそうです。

 

約20の福祉関係団体が参加。主催は社会福祉法人「愛成会」さん。その活動は終戦年1945年にまでさかのぼる歴史ある法人です。

東京藝大構内「トーキョー・ブリュット展」

「トーキョー・ブリュット・プロジェクト」は厚生労働省の「障害者の芸術活動支援モデル事業」に認定されています。展覧会などを企画するだけではなく、芸術活動を望む障害者の相談にのる。障害者アーティストを発掘する。また関わる人材を育成する。障害者の著作権保護活動も行うプロジェクトです。

 

その発表の為のイベントがこの「トーキョー・ブリュット展」。まだまだ一般的な知名度はありませんが、とても頑張っているプロジェクトです。

 

障害のある人、特に精神や知的な面で障害のある人が、芸術で自分を表現して評価される。さらには、仕事として成立して収入も得られる。それによって生活が自立安定する。こういうことになれば素晴らしいことです。

 

先ずはアートに興味のある障害のある人にとって、教育を受けて活動をする場があり、そして発表する機会があること。こういう社会を実現したいものです。

 

「トーキョー・ブリュット・プロジェクト」を応援しましょう。

藝大アーツ2015(東京都台東区2015/12)

~毎年12月の第一土日に定例開催、藝大主催「障害とアーツ」の一大イベント~

 

2015年も開催されました。上野の東京藝大を会場にした「障害とアーツ」。「藝大アーツ2015」、展覧会は12月1日から12月6日、コンサートは12月5日と6日の両日開催。藝大「奏楽堂ホール」で12月6日に開催された「メインコンサート」に参加しました。コンサートのタイトルは「聞こえる色、見える音」。藝大各課の総力を結集した企画イベントです。

東京藝術大学「藝大アーツ2015」

車椅子利用ということで事前に藝大に相談をしたところ、「奏楽堂ホール」横の駐車場の利用を許可していただけました。これで雨でも安心。もっとも、当日は好天でしたが。ただ、駐車希望者があまりに増えると限界があります。キャンパス内では身体障害の人の乗降だけ、健常者が車を運転して外部の駐車場に停めに行く、などの譲り合いルールが、いずれ必要になってくるでしょう。

東京藝術大学「藝大アーツ2015」

メインコンサートの開場は14時。14時前には「奏楽堂ホール」に100人ほどの開場待ちの列が出来ました。年々人気が上っています。

コンサートの出演者は、藝大教授など超一流の音楽家、それで入場無料です。それでも、まだ今年は「奏楽堂ホール」は半分くらいの入り。いずれ知名度があがると、整理券の入手が大変になりそうなイベントです。

 

ちなみに「奏楽堂ホール」の障害者用トイレは、B1の男女別トイレの中にあります。上下階移動は、一基設置されているエレベーターをご利用ください。

東京藝術大学「藝大アーツ2015」

会場内には、障害のある人が描いた絵画などの作品が展示されているので、こちらもご覧ください。

 

今年の海外からのゲストはカンボジアの視覚障害アーティスト。カンボジアの伝統弦楽器の名手です。イベントの推進者である藝大副学長松下先生の専門がアジアの音楽。そういうご縁で、毎年アジア各国から、障害者をもつアーティストが参加していただけます。

 

メインコンサート、冒頭のプログラムは、恒例となった、ダウン症の書道家金澤翔子さんの揮毫。今年の字は「和」。力強い書が描かれました。

金澤翔子さん、2015年は国連で英語のスピーチをするなど海外でも大活躍。その際の面白い逸話を、お母様が紹介されていましたが、今後の講演でのネタバレになりそうなので、ここではあえて内容は書きません。

東京藝術大学「藝大アーツ2015」

ラヴェルの「左手のためのピアノ交響曲」をご存じでしょうか。第一次世界大戦で右手を失ったピアニストからの依頼で、モーリス・ラヴェルが1930年に完成させたピアノ協奏曲。左手だけで弾く曲です。この難曲を、藝大ピアノ科青柳准教授が演奏しました。約20分の協奏曲、左手一本、圧巻の演奏です。

青柳先生の演奏後のお話では「10年前に取り組んだ時には全く弾けずに、ピアノをやめようかと思った」とおっしゃっていました。

 

メインコンサートの最後は、障害のある人を、オーケストラと一緒のステージに上がってのコンサート。奏者の間、すきなところに座ってもらいます。

今年から、車椅子の人もステージへ。学生ボランティアさんがマンツーマンでついて、車椅子の人を舞台の袖からステージに案内します。

オーケストラは「藝大フィル」。そして藝大の映像科の皆さんがつくった、照明、映像がステージやビジョンで、音楽と同期します。これが「聞こえる色、見える音」です。

藝大の先生、スタッフ、学生が本気でやってくれるアーツ。ハイレベルです。観て、聴く価値、あります。

 

イベント最後のご挨拶で、副学長の松下先生が「来年もやります、毎年やります」と宣言されていました。松下先生は、日頃から福祉活動に実践的に参加されています。有言実行、また来年「障害とアーツ」が開催されることを願います。

藝大アーツ2016障がいとアーツ(2016/12)

~回を重ねるごとに立派なイベントに成長しています、第六回目の藝大奏楽堂での祭典~

 

毎年概況を報告している藝大の障害とアーツ。2016年は12月3日と4日に開催されました。

今回は4日日曜日に参加。

入場無料。場所は上野の藝大キャンパス内の奏楽堂。

年々来場者は増加している印象で、今年は奏楽堂の8割がお客さんで埋まっています。大きなイベントになってきました。

 

二日目の12月4日のプログラム。

最初はプレトークとして「障がいを超えるファッション」。ゲストはコシノジュンコさんと、パラリンピック卓球の吉田選手。総合司会の藝大松下先生も加わったトークイベントです。コシノジュンコさんのトーク。素敵でした。

 

以後は「メインコンサート」。今年もトップバッターは、ダウン症の書道家金澤翔子さん。翔子さんは30歳になり、一人住まいを始められたそうです。そして好きな人が出来たそうで・・・。でもマイクを使って「内緒」と大きな声でおっしゃっていました。

 

次は、恒例となった、障害のあるアーティストの公演。今回のゲストはチリの片腕のギタリスト、アンドレス・ゴドイ氏。藝大フィルとの共演です。

14歳のときに事故で右腕を失ったゴドイ氏。左手一本でのアコースティックギタープレイです。近くで見ていても、いったいどうやってギターを弾いているのか、はっきり解りません。

どうも、人差し指と中指で弦を押さえ、薬指と小指で弦を弾いているような感じですが、とてもそれで説明がつく音色ではありません。

この片手ギター奏法は、もちろんゴドイ氏の独創。名付けて「Tatap」奏法。

身長は150cmほどの小柄な方ですが、実にエネルギッシュ。世界中を飛び回って公演をしているということです。

 

そして藝大フィルのコンサート。今回は視覚障害、聴覚障害の学生の参加が中心。第九を歌い、行進曲でパーカションを叩きます。

 

そして今年もあります、オーケストラの間に座って楽しむコンサート。

「メインコンサート」は休憩をはさんで約2時間。楽しい時間を過ごせました。

会場内には今回も、障害のある方のアート作品の展示があります。

 

昨年に引き続き、事前に許可を受けて、藝大キャンパス内に車を停めさせていただきました。まだ満車までにはなっていませんが、昨年よりは駐車利用台数が増えた気がします。

 

奏楽堂のトイレはB1。男女別トイレの中に障害者用が設けられています。便器が更新されて綺麗になっていました。

 

来客の増加に伴い、ホール最前列の車椅子エリアもかなり満席に近い状況。藝大の運営スタッフさんの誘導も、すっかり板についてきた印象です。

藝大アーツ「2016障がいとアーツ」

第三回から参加させてもらっています。回を重ねるたびに、企画として成熟してきています。

よく言えば手作り感あふれるイベント、悪く言えば運営としては素人的であったのが、ずいぶん段取りもよく、手馴れたプロっぽいプログラムになってきました。

会場で配られるパンフレットも毎年立派になっています。

 

毎年、12月の第一土日日に必ず開催します、と藝大の松下副学長が決意を語っています。

松下先生は「2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会[文化・教育]専門委員」にも就任されたそうで、2020年に向けた障害とアーツについても、強い決意を語られていました。

 

キーワードは「共に生きる」。今回もステージ後方に、金澤翔子さんが書かれた、この書が飾られています。

 

皆さん、また来年も奏楽堂でお会いしましょう。