エレベーターとエスカレーターの配置の妙

エレベーターとエスカレーターの配置の妙

車椅子ユーザーにとって、縦の移動の頼みの綱はエレベーターです。バリアフリーかどうかという論点で、縦の移動のエレベーターがあるかないか、というのは大きな意味を持ちます。ところが世の中、混むエレベーターが多いのです。商業施設などで、なかなか乗れずに長時間待つことはよくあります。

 

近年では、混む商業施設でエレベーターが複数基ある場合、「ベビーカー車椅子優先」基が設定されている施設がよくあります。なかには「車椅子専用」という設定もあります。でも残念ながら、エレベーターへの乗降スタッフが常駐している施設以外では、ほとんど機能しません。皆さん来れば乗ってしまいます。

エレベーターとエスカレーターの配置の妙

なんども経験したことがありますが、車椅子でエレベーターを待っていて扉が開き、車椅子が入る隙もない混み方をしている場合、中に乗っている人の反応は実に微妙です。

 

まず目の前に車椅子の人がいる、という想定が全くないので「あっ」という雰囲気はあります。「どうしよう」という迷いが伝わってくる人も大勢います。

ただ、一般の商業施設にある定員20人以上くらいの、大勢が乗っているエレベーターの場合、自分から降りて「どうぞ」という人はまずいません。ほとんど出会ったことがない、といって構いません。そうこうしているうちに扉が閉まり始め、中にはスマナソウに頭を下げる人もいます。

 

逆の立場になった経験があまりないので、群集心理がよくわからない面もあるのですが、おそらくトッサのことが出来ずに固まっている感じなのでしょう。

数少ない経験ですが、見るからに外人さんという人で、さっと瞬間的に自分がエレベーターを降りた人はみたことがあります。とっさに体が動くのですね。経験や文化の違いなのでしょうか。

日本人でも、車椅子が乗るとそれだけで満員になりそうな少人数用のエレベーターの場合、さっと降りる人は見たことがあります。

 

「車椅子専用」エレベーターに乗ってしまっていて、本物の車椅子の人が乗れずにいるのをみて、目を伏せて動けない人を何人も見たことがあります。あの人このあとしばらく心が重いのだろうな、など想像します。普通の商業施設の場合、エスカレーターもあります。なぜ健常者がエスカレーターではなく、エレベーターを利用するのか、永年の経験で一つの確信があります。

 

健常者がエスカレーターに流れて、エレベーターパニックが起こり難い施設の特徴です。

エレベーターとエスカレーターの配置の妙

単純な話ですが、エレベーターの待ち位置からエスカレーターが見える構造の施設は、エレベーターが混みません。経験上自信を持って言い切ります。施設にバッと来てエレベーターしか見えない構造だと、健常者でもエレベーターが来るまでずっと待ちます。あまりに来ないと、さすがにエスカレーターもあるはずだ、とやっと移動を始めます。

 

混雑が予想される商業施設を設計する専門家の人、ちょっとした配慮です。ぜひエレベーターとエスカレーターの配置の妙を、設計に取り入れてください。