重度障害のある行商人

すごい人がいます。特定の個人や施設に対する直接的な表現は避けるポリシーなため、個人名の記載は控えますが、なかなかの有名人なので、彼を知る人が読めば、誰のことかが解るでしょう。生まれつきの障害、それもそうとう重度の障害がありながら、車椅子で行商をしている人のご紹介です。

 

売っているのはシフォンケーキやキッシュなどが中心です。重度障害者用のオンリーワン車椅子に乗り、車椅子後部に商品と会計用の財布をぶら下げて、販売用のノボリをもって出発です。

 

ホームグランドは三軒茶屋。そこを拠点に、特別支援学校で文化祭がある、などの情報を集めて、売れそうなところに、介助者なしの自分一人で、電車等公共の交通機関で行商に行きます。

重度障害のある行商人

客観的にみて、かなりの重度な身体障害がある人です。でもとても頭のいい人です。商品のケーキ等は、彼がレシピを口述して、健常者の仲間が作ります。

 

例えば、ある特別支援学校の文化祭の日、校門の前に突然ノボリを立てて彼がいます。重度障害のある人が、大型の重度障害者用車椅子に乗り、ノボリを立てている光景をご想像ください。初見の人は、間違いなく驚きます。

 

発生、発語にも障害があり、ゆっくりと、やっと喋っているという話し方ですが、「お母さん綺麗だから、まけてあげる」みたいなことを、平然と言います。

 

車椅子の自走は出来ますが、それ以外は体も動かせないので、商品の取り出し、入金やおつりなどのお金の出し入れは、お客さんが行います。「バックからだして」「お金入れにいれて、おつり50円とって」などと、売っている方は指示を出すだけです。

 

どうやって電車やバス、坂道等を移動出来ているのか、ご本人に聞いてみると「コツはこちらからは手伝いをお願いしないこと。困ってジッとしていると、30分もすれば、声をかけてくれる人がでます。そうなれば勝ったも同然。」ということでした。

重度障害のある行商人

2012年には、なんと三茶にお店をオープンさせました。特性カレーも自慢です。彼はおそらく40代半ばです。19歳から支援者の力を借りて、独立した生活を送っているそうで、行商も20代から行っているらしいです。本人のパワーももの凄いですが、1980年代からこれだけ重度の子どもを好きに活動させた親も凄いと思います。当時は今とはバリアフリーが全く違います。大変な苦労と心配があったであろうと想像します。

 

初めて彼に合ったのは、彼がある特別支援学校の家庭科の料理の授業に、講師として参加していたときです。先生にレシピを指示して、ケーキを作らせていました。もちろん自分の商品も持参し、授業後には先生や見学の保護者に販売していました。たくましい人です。

 

他にこんな人がいるのでしょうか。奇跡のような行商人兼カフェオーナーです。