インフルエンザ疑いで入院拒否

重度の身体障害のある人が、肺炎を起こして救急車で緊急病院に搬送されましたが、ちょうどインフルエンザのピークの時期で、疑わしい限り入院はさせられない、と入院を拒否された実例のご紹介です。

 

近年はインフルエンザになると大変です。タミフルなどの有効薬もあるため、早期の医療機関での受診が推奨されていますが、院内感染を発生させてはたいへんなので、インフル疑い患者は厳重な管理下におかれます。

 

ある中規模な総合病院の例です。先ずは事前の電話予約が必須。突然行くと診療を拒否されます。電話でアポを取り受診に向かいます。病院内へは、夜間緊急口から入ることが指示されます。窓口に行きアポ内容を申告。防護服を着たスタッフが、専用待合室に案内をしてくれます。以後、診察から会計まで、一般の患者さんと交わることのないルートで受診が進みます。

こういうご時世なので、この事例のインフル疑いの重度の身体障害のある患者さん、40度の発熱で意識はもうろうとしている状態で、午前11時に救急車で病院に搬送。最初にインフルエンザの検査を受け、緊急外来の一角のベッドで点滴治療。そして夕方、急患担当医師からは帰宅命令。

「インフルエンザ検査は陰性であったが、発症直後は陰性ででる場合がある。個室が満床なので入院はさせられない。」

 

もともと重度障害のある人です。高熱で唸っていて、点滴で水分栄養補給をしている状況で、家に帰れと言われても当惑します。

他に入院できる病院がないか、探してもらいます。明日の朝からなら、という病院がやっと見つかりました。

家族が頼み込んで、今夜は緊急外来でそのまま一泊。家族の同伴が義務で、何かあったら家族が責任をとる、という一筆を入れさせられ、ようやく一晩点滴治療が継続できる状況になりました。

ちなみに翌日以後の検査でも、インフルエンザは陰性でした。重度障害の人なので、外出して人と接して感染する機会がありません。最初から家族は、陰性であることを確信していました。

インフルエンザ疑いで入院拒否

この時の医師の判断材料の一つに、インフルエンザの予防接種を受けたか、ということがありました。重度障害で基礎体力に問題があること、流行期に人ごみに出かける必要がないことなどから、本人には予防接種は受けさせていません。もちろん家族は受けています。予防接種なし、感染リスクあり、家に帰れ、こういう医師の判断です。

 

まあ名医ではないでしょうが、単純にこの医師を非難することも出来ないでしょう。どのリスクをヘッジして、どのリスクをテイクするかの判断です。万が一、インフルエンザ感染者であった場合、その患者を受け入れたことのリスクと、家に帰して容態が急変した場合のリスクを天秤に掛けた話です。

 

この障害のある患者側サイドから見た場合、これは予見していなかった事態です。インフルエンザ流行期に熱をだして病院に行くと、こんな目に合うかもしれないという予見をもって、日頃から在宅診療医と付き合っておくなど、複数の対策を準備することをお薦めします。