イオンモール銚子(千葉県銚子市2015/04)

イオンモール銚子

 

~地産地消企画が息切れ気味です、だんだんと普通の食品売り場になってきたスーパーマーケット~

 

千葉県銚子。歴史のある街です。醤油と漁業が伝統産業。江戸期から続く街並みです。正直にいって、あまりバリアフリーな街ではありません。新しい施設が少ないため、街の中心部付近では、障害者用の駐車場や障害者用トイレにも不自由します。

 

そういう状況のなかで、2010年に銚子郊外に誕生したモール。イオンの文法通り、バリアフリーに力を入れています。銚子市初の本格的なバリアフリー施設の誕生でした。

 

2010年誕生のイオンモールなので、基本的なバリアフリー面での問題は全くありません。無駄な段差や傾斜はなく、フロアのつなぎ目もひっかかりません。障害者用トイレは当然合格トイレ。売り場の通路も余裕があります。

 

唯一思うのは、リモコンゲート式障害者専用駐車場の雨対策です。駐車場には屋根が付いているので、雨の日でも乗降は濡れずにできます。ただし、そこから店舗入口まで30m程度の距離があり、ここで濡れます。店舗入口のすぐ横に駐車場スペースを造るか、店舗入口までの動線の上にも屋根を設置するかでしょう。この中途半端な雨対策は疑問です。

 

銚子の特色を出したイオン、というのが開業時のセールスポイントでした。「鮮の市」という名称で、地元の魚屋、青果店、練り物などの加工品店などの食品系のお店を集めた一角を造り、銚子の産物の販売をしています。

 

今回久しぶりに訪問しましたが、残念ながら当初の熱気は無く、鮮魚系のお店はほとんど撤退していました。商売にならなかったのでしょう。稼働率50%くらいのイメージです。最初の頃は熱気ムンムンでした。往時を知る者としては、寂しい限りです。

 

イオンの食品売り場も、銚子色を前面に出したセールスを行っていました。一番の自慢は鮮魚コーナーで“銚子港水揚げ”の魚の丸物が豊富に並んでいました。

また、練り物、揚げ物など各売り場にも、“銚子名産品”マークが掲示されたコーナーが必ず設置され、地元の商店が使った地場製品が売られていました。

イオンモール銚子

とここまで過去形で書いたことでお察しのように、地産地消企画はほとんど消えました。そういう目で食品売り場を見て回ったのですが、唯一あったのは小魚の佃煮やいわしの加工品などのコーナーに“銚子”印があったくらいです。“銚子”ブランドが消えて、トップバリューに変わっています。

 

どこのイオンも同じではつまらない、地元の産物を積極的に扱っていこう、という当初の企画意図は良くわかります。実際、面白いと思いました。しかし5年経ち、現在の状況を冷静にみると、商売としては企画倒れだったようです。

 

銚子は電車でも車でも、今やあまりアクセスの良い街とはいえません。観光産業を盛り上げたいと地元では思っているのでしょうが、主要な観光施設はひどく老朽化していて、観光客を呼び込む力はありません。地元の経済状況も良くないでしょう。難しい課題を抱えた地方都市です。

 

バリアフリーな施設で、地産地消マーケティングを目指した企画です。でも、まだまだ工夫の余地はありそう。ポイントは、地元のお客さんだけではなく、東京圏からの観光客をいかに呼び込むかです。

 

モール駐車場内に、東京行きの長距離バスの停留所ができました。おそらく銚子市民がマイカーをモールの駐車場に停めて、バスで東京に行くのだと思われます。

この逆に、銚子への観光客をこのモールまで共同運航バスで連れてきて、ここをハブにして各観光拠点にそれぞれの送迎バスが運行する。例えばヤマサ醤油の工場へ、ヒゲタ醤油の工場へ、銚子漁協へ。こういうことができると、面白そうです。

 

潜在的な観光資源はある街です。バリアフリー拠点を核にした街興し。面白い企画を期待します。