新宿駅西口周辺(東京都新宿区2015/06)

~迷いなく行動する外国人観光客、国際観光ストリートになった「思い出横丁」~

 

ディープな街でも、日本に遊びに来ている海外観光客の姿をよく見かけるようになりました。

世界一の乗降客数を誇る新宿駅西口。基本構造は50年来ほとんど変わらない、古く解り難い設計の街です。

そもそもは全くバリアフリーではない、バリアだらけの街ですが、後付のエレベーターがいくつか設置されています。どこにエレベーターがあり、地上、地下、ビル、バス乗り場、歩道と、どのように繋がっているのかがとても解り難い状態なのですが、大きなバッグを引っ張った海外観光客の皆さんが、迷いなく後付エレベーターを使いこなしています。

西口なら目をつむっても歩ける、そういう“通”の外国人の人が、きっと何十万人といるのでしょう。

新宿駅西口周辺

成田空港からリムジンで新宿のホテルへ。そして東京観光定番コースへ。こういうレベルが当たり前だった時代は過ぎ、海外観光客の皆さん、新宿西口を使いこなしています。

 

各地に向かう高速バスの乗り場がありますが、あきらかに海外観光客と思われる人の利用が増えています。日本ではほとんど知名度のない瀬戸内海の小さな島が外国人に人気、などの現象が話題になりますが、安くて便利な移動手段を探して、定番観光地以外の目的地に向かうのでしょう。

 

西口のゴチャゴチャした飲食街にも、大勢の旅行者が食べに来ています。地下二階に階段で降りる牛タン屋など、よくこんなお店を知っているな、というお店にもいます。お得な観光情報は世界を駆けめぐっています。

新宿駅西口周辺

日本を代表するディープストリートの一つ「思い出横丁」にも、海外観光客が大勢来ています。

「思い出横丁」。昭和の頃は、もっと下品な名称で呼ばれることが多かったディープストリートです。とはいっても、もともとそれほど危険な香りのするストリートではなく、普通のサラリーマンが安く飲むスポットでした。

その点では、旧山谷エリア、浅草裏方面エリアなどとは、もともと性質が違うエリアです。新宿は、下品と言っても後背立地は山の手。それほど無茶な街ではありません。

 

「思い出横丁」は、1999年に火災で延焼しました。その後再建されて、だいぶ下品さが薄れ、「思い出横丁」という名称に似つかわしい雰囲気になりました。それでも、ゴチャゴチャ感は横丁の“売り”のイメージ。頑張ってゴチャゴチャ感を壊さないように再建された印象があります。共同トイレもわざわざ残したとしか思えません。そういうノリが大切にされたのでしょう。

 

したがって、いまでも「思い出横丁」は、全くバリアフリーではありません。車椅子で入店して快適に飲食できるお店は、ほぼ無いと思ってください。「思い出横丁」の通路を車椅子で通るのは、問題ありません。車椅子での観光は、“見るだけ”のほうが無難なストリートです。

 

海外観光客の皆さん、ビール、日本酒を飲みながら、もつ焼き、焼き鳥を食べています。昼間から営業してお店もあるので、ランチから飲んでいます。楽しそうです。本物の日本に来た、お得なお値段で日本の食文化を体験した、そういう感じでしょうか。

こういう光景をみると、何でもかんでも物理的にバリアフリーにすればいいわけではなく、あえてバリア文化を残すのも考え方かと思います。

新宿駅西口周辺

日本の建築様式は、最初に玄関で靴を脱いであがるところで、もはやバリアフリーではありません。畳にちゃぶ台、布団、和式トイレ、すべてバリアフリーとは相いれない生活文化です。

 

生活する上では、誰もがバリアフリーのほうが便利なのですが、「文化」「歴史」という観点からみれば、日本的なバリア様式も大切に残したいもの。繁華街に残るバリアストリート。基本はバリアフリー推進派ですが、そういうものがあってもいいと思います。

 

日本のゴチャゴチャ文化を大切に守る「思い出横丁」であってください。