お札と切手の博物館(東京都北区2015/10)

~2Fへは階段、車椅子では1Fだけの見学になる、紙の町にある国立印刷局の博物館~

 

東京都北区の王子は紙の町。「お札と切手の博物館」は王子駅の近くにある入館無料の博物館です。

 

建物は古く、基本はバリア設計。出入り口には後付スロープが設置され、車椅子利用者用の自動ドア開閉スイッチがあり、1Fには障害者用トイレが設置されています。

お札と切手の博物館

ここまでは頑張ってバリアフリー化を進めていますが、残念ながら2Fへは階段のみのアクセス。車椅子では1Fだけの見学になります。

 

1Fは、主にお札や切手の製造工程について各種の資料を展示。1億円分の重さを持ち上げてみたり、計測器でご自身の身長や体重を金額に換算したりする体験コーナー、お札の偽造防止技術についてのコーナー、実体顕微鏡でマイクロ文字を探すなど、8種類の偽造防止技術体験装置などがあります。このフロアは車椅子OKです。

 

車椅子では行けない2Fは、歴代の日本のお札・切手のほか、世界のめずらしいお札、王子が発祥の地である近代製紙産業の歴史などの資料を展示。パスポート・官報・諸証券を紹介するコーナーなど。階段のみなのが実に残念、見どころのある2F展示です。

 

「お札と切手の博物館」は、国立印刷局の施設。受付にいるスタッフさんは、おそらくは国立印刷局所属のベテランスタッフ。元気いっぱいに挨拶をしてくれて、積極的に展示物の説明を来館者にしています。車椅子利用の姿をみると「申し訳ありません、1Fだけになりますが、ごゆっくりご覧ください」と声をかけてくれました。とても熱心で感じの良いスタッフさんです。

 

この王子の地に「お札と切手の博物館」があるのは必然。王子は“紙の町”です。

 

国立印刷局は、明治4年の1871年に創設された「大蔵省 紙幣司」が源流。1873年に渋沢栄一が王子に「抄紙会社」を設立。そして1875年には「大蔵省 抄紙局」が王子に設置され、同年に「抄紙会社」が“東京府下王子村”に工場を完成。1876年に、ついに「大蔵省 抄紙局」が操業開始となり、王子での紙幣の生産が始まりました。

 

渋沢栄一が王子に設立した「抄紙会社」の社名が「王子製紙」に変更されたのは1893年です。飛鳥山に「紙の博物館」があるのも、この流れからです。

 

現在でも国立印刷局の工場がこの周辺にあります。

飛鳥山公園より、やや西ヶ原方面の地にあるのが「東京工場」。そして「お札と切手の博物館」の近くにあるのが「王子工場」。残念ながらこの2つの工場は、工場見学を受け付けていません。

国立印刷局の工場で、工場見学が可能なのは「小田原工場」と「彦根工場」の二つ。王子界隈の工場には入れないので、「お札と切手の博物館」の見学だけで我慢してください。

 

国立印刷局の博物館は、1971年に「百周年」を記念して、当時あった市ヶ谷の工場に設けられたのが始まりです。そして2011年に現在の王子に移転。実はこの王子の地では、まだ新しい博物館なのです。

 

2011年ですから、世の中はバリアフリーの時代。古い建物に、後付でバリアフリー対策を施した博物館です。2003年には「独立行政法人」に改組された国立印刷局。予算の都合か、2Fへ行くエレベーターや昇降機は、設置されませんでした。そこが残念ポイント。

 

それでも入館無料の博物館です。車椅子利用者は1Fだけでも覗いて、1億円の重みを体感してください。