障害者スポーツセンターのプールにきている人々

障害者スポーツセンターのプールにきている人々

障害者専用の公立のプールをよく利用しています。屋内温水プールで、一般のプールよりも、室温水温ともやや高めの設定なのが特徴です。そのこと以外は、1時間に一回10分の強制休憩時間、帽子着用、飛び込み禁止など、一般の公営プールと同じ利用ルールです。障害者手帳をもっている人と介助の人は、無料で利用できるプールです。

 

障害のある人にとって、適切な運動を行うことは重要なテーマです。皆さん思い思いに、プールでの運動に取り組まれています。よく見かける方々が大勢います。利用日を決めて、定期的な運動を続けているのでしょう。その中で、とくに印象の強い、親子でのプール利用者の様子をご紹介します。

 

視覚障害の30歳くらいの息子さんとお母様のペア。

50分間、背泳ぎを続けます。息子さんの進行方向前にお母様が後ろ向きに立ち、息子さんの背泳ぎの腕の動きを真っ直ぐにふり出すようにサポートします。

 

お母様は50分間、水中をうしろ歩行で息子さんの手を伸ばします。コースの端にくると息子さんに教えて、いったん立って向きをかえてスタートです。「イチ、ニイ、イチ、ニイ」と小さな声で掛け声をかけてあげているようです。

 

息子さんが何歳のときからの取り組みでしょうか、そして何歳まで続くのでしょうか。愛情か過保護か、努力か甘えか、この場面だけではなんの判断もできませんが、とても強い親子の関係があることは明らかです。

 

親子ペアでもう一組。

おそらくは10代後半の、かなり重度な脳性麻痺の御嬢さんとお父様。お嬢さんは“ぐにゃっ”となるアテトーゼ型です。

 

家族用の更衣室を利用して、車椅子に乗ってプールに入ってきます。プールサイドのベンチに腰を掛けさせて、準備体操です。御嬢さんは座位の確保が難しいレベルの障害ですが、お父様は体操をさせるのがとても上手です。文字通り、手取り足取り、体を動かして御嬢さんの準備体操を介助します。

 

そして十分に体操をしてから、一番浅いレーンで水中トレーニングをします。PTの技ですね。いつも体操10分、水中PT30分くらいのコースで運動をします。見ているだけで、お父様の愛情が伝わってきます。お嬢さんにとって、よい運動になっているのでしょう。

身体は重度障害ですが、親子のコミュニケーションはとれているようです。白髪頭のお父様の体力が続く限り、でしょうか。

 

最後は、知的障害のある30歳代くらいの男性のお二人。

プールには一人で入って運動をしていますが、送迎と着替えの補助には、それぞれお母様がついてきています。お母様同士も仲良しで、息子さんがプールを利用している間は、観覧席で並んで座って、ずっとおしゃべりをしています。障害の程度は重い息子さんです。

 

一人でプールに入って、歩いたり、ちょっとだけ潜ったりして、1時間で上れるようになるまでに、随分時間がかかったようです。訓練してパターンを刷り込みして、出来るようになったそうですが、でも悲しいかな、自分一人での着替えは、二人ともまだ出来ません。出来るようになるといいですね。今は、そこを頑張っているそうです。

 

障害のある人と、それを支える家族。

プールを利用しながら横目でみているだけでも、それぞれの人生のダイナミズムが伝わってきます。

皆さん、無理せず楽しく、そしてゆっくりと永く、プールを利用してください。