韮崎大村美術館(山梨県韮崎市2016/01)

~先生の胸像があります、富士山と八ヶ岳を臨む高台に建つノーベル賞大村先生の美術館~

 

大村先生のノーベル賞受賞に湧く出身地韮崎。駅前周辺を中心に、お祝いの「旗」や「ノボリ」が無数に掲げられています。

 

先生の美術館はバリアフリー。入館料は各種障害者手帳の提示で、本人と介助者1名が無料に減免されます。

 

どちらも先生がオーナーの、日帰り温泉施設とお蕎麦屋さんが隣接。受賞を機に、観光スポットになりました。

 

場所は韮崎駅から車で5分程の高台の地。武田八幡宮の近くです。途中道路が狭くなり車のすれ違いができない区間があります。これは行政の責任で早期に改修していただきたい。今や、大型観光バスが来る観光スポットなのですから。

韮崎大村美術館

現地は美術館、温泉、蕎麦屋からなる複合集積です。高台の下部に大きな駐車場があり、大型観光バスなどはこちらの利用。車椅子利用者で美術館目的であれば、美術館の入口前の駐車場を狙うことをお薦めします。

 

ここに停められれば、傾斜路を通ることなくフラットに美術館入口へ。7台分くらいのスペースなので、満車確率は高いかもしれません。

 

障害者用駐車区画は、残念ながらありませんが、すべての区画が横幅に余裕があり、一般的なヒンジドアの車両なら、ドアを目いっぱい開放することができます。奥行きは一般サイズの区画なので、後部から乗降する場合はご注意ください。

 

美術館入口には、教え子一同から贈られた、大村先生の胸像があります。今や記念撮影スポット。皆さん先生の像と写真を撮っています。

 

入口はバリアフリー。館内に入るとすぐに受付があるので、障害者手帳を提示してください。無料入館券を発行していただけます。

 

受付の奥右側にトイレがあり、障害者用トイレが一つ併設されています。それほど余裕はありませんが、広さは車椅子での実用に耐えるぎりぎりサイズは確保。設備はフル装備でとても綺麗なトイレです。トイレは1Fだけ。2Fにはありません。

 

受付から先にちょっとしたお土産コーナーがあり、その先が1F展示室。女性アーティストの作品を中心に、コレクションが展示されています。展示室内はバリアフリー。車椅子での作品の鑑賞に問題はありません。

 

さて2Fへはエレベーターで。ここが唯一の鬼門。エレベーターはとても狭いホームエレベーター。一般的な車椅子1台と、やや無理をして介助者1名が乗り込むのが限界です。

重度障害者用の大型の車椅子は、エレベーターに入るかどうか微妙。リクライニングを起すなどが出来れば、ギリギリでしょうか。どうしてもエレベーターに車椅子が入らなければ、2Fは断念せざるを得ません。

 

2Fは鈴木信太郎氏の作品が並ぶ展示室と展望ギャラリー。飲み物の自販機があり、ギャラリーのフリースペースでお茶を楽しめます。

韮崎大村美術館

展望ギャラリーからの、韮崎の眺望は美しい。特に八ヶ岳はほぼその全貌が、富士山は5合目以上くらいがのぞめるのが印象的。この眺望が、大村先生がこの地を選んだ大きな理由だそうです。

 

2007年に大村先生が自費で建設し、自らのコレクションを収め、翌2008年に丸ごと韮崎市に寄贈された美術館。先生がノーベル賞を受賞する以前は、平日の入館者は30人程度だったそうです。正直に言って、私も存在を知りませんでした。

 

展示作品はとても個人コレクションとは思えないレベル。展望ギャラリーからの眺望は秀逸です。

 

今回休日に出かけましたが、受賞直後のような入館行列はありませんでした。眺望も楽しみの一つなので、出来ればお天気の良い日に、お出かけください。

千葉中央博物館 大利根分館(千葉県香取市2015/06)

~施設は古いが展示内容はハイレベルです、大人の知的好奇心に応える博物館~

 

佐原の水生植物園に隣接しています。1979年開館。香取市を中心に、利根川流域エリアの自然と歴史、文化を紹介する、本格派の博物館です。

 

入園料は200円。障害者手帳の提示で、本人と介助者1名は入館料が無料に減免されます。古い施設ですが、最低限のバリアフリーには改修されているので、車椅子での入館はなんとか可能です。

 

今回が初めての訪問です。博物館の老朽化した外見の悪さと、入館料200円の安さで、ややマイナスな先入観をもって入館しましたが、展示の内容は実にハイレベル。大人の知的好奇心に応える博物館です。

もっと時間に余裕をもってくるべきでした。しっかり見るなら、1時間以上の時間をみたほうがいいでしょう。

 

博物館の前が駐車場になっています。障害者用駐車スペースは、一般駐車区画とは別、正面入り口に近い進入口から入ります。

 

博物館の周囲には、自然園のような遊歩道があります。途中に、妙にリアルな“河童”のボードが立っています。面白いもの好きなら、この河童ボードは、見る価値があるかもしれません。

千葉中央博物館 大利根分館

博物館のエントランスまではスロープがあり、館内入口は幅が狭い手動ドアですが、車椅子で行くと、行きも帰りもスタッフがパッと開けて手伝っていただけました。

 

館内展示は「香取に象がいたころ」から始まります。このエリアから出土した「ナウマンゾウ」の化石の模造の展示があります。2万年前くらいまで、この地は象の繁殖地だったそうです。

 

続いて、縄文時代のこの地の様子。豪族たちが力を伸ばした中世の歴史。その歴史の中心でもあった香取神宮、鹿島神宮の歴史や今に残る文化財の紹介と続きます。

 

江戸期以後の展示ゾーンに行く前に、「利根川に住む生き物たち」という水生動物の飼育ゾーンがあり、数多くの水槽が並びます。

 

中庭は“亀コーナー”。これだけ生き物がいる博物館は珍しい。「注意」と札がついているは「カミツキガメ」。怖い顔をしてこちらを睨みます。

 

さて、江戸期以後の展示は「切り開かれる香取の海」から始まります。この水郷エリア一帯は、もともと内海だったのです。それを江戸幕府が主導して、現在の姿に変えていった歴史が紹介されています。

 

江戸幕府の最大の目的は、利根川の治水。当時、江戸の町に流れ込んでいて、頻繁に水害を江戸にもたらしていた利根川の流れを、現在の銚子方面へと、人の力で変えていきました。そのために、この水郷エリアは海を埋め立てられたのです。そして新田として開墾されていく。この水郷エリアの正しい歴史を、始めて理解しました。

 

今回訪問時に開催されていた企画展が「母の祈り~利根川下流域の女人信仰~」。入館時にいただけたこの企画展のパンフレットが、実にボリュームがあり、詳しい解説が書かれていています。

 

貧しい農村での“間引き”の習慣、子どもの成長を祈る民間信仰の歴史、女性だけの宗教的な儀式の伝統など、このエリアの神社などに現存する文化財を現物展示して、詳しく解説されています。

 

ひとつ一つの展示の前で、熱心にメモを取っている人が2人いました。この分野を研究している人なのでしょう。レベルとしては、プロのための専門企画といえます。

 

1979年に出来た施設なので、ハードは老朽化しています。障害者用トイレはありますが、こちらもとても古い設備です。バリアフリー面では、その程度だと思ってください。

 

ただし、展示内容は“狭くて深い”本格派。水郷エリアの歴史、自然、民族文化などに興味のある、大人のための博物館です。

 

お子さんには薦めません。知的好奇心旺盛な、大人にお薦めの博物館です。

水郷佐原水生植物園(千葉県香取市2015/06)

(※2017年にリニューアルオープンして「水郷佐原あやめパーク」へと改称。とても車椅子で利用しやすい、バリアフリー施設になりました。水郷佐原あやめパークの紹介ページをご参照ください。)

 

~あやめ祭り期間中は入園料が高くなります、東洋一の花菖蒲と日本一の蓮品種園~

 

この水郷エリアにしかない風景が広がります。道と川が近い。緑が広い。水郷を流れる川には、太公望が並んでいます。

 

“何も無い”では言い過ぎですが、ほとんど商業施設はありません。国道から離れ、水郷エリアに突入して車で走ること数分で、水生植物園が現れます。商業的な観光施設と考えるよりは、真面目な植物園のイメージで行かれることをお薦めします。

水郷佐原水生植物園

無料駐車場完備。ただし、あやめ祭り期間中は、入場口正面の舗装された駐車場はクローズされます。その舗装駐車場の道の反対側のオフロード砂利駐車場が最寄の駐車場で、そのもっとも水生植物園入口近くのスペースが、障害者用駐車スペースに指定されています。台数は8台分ほどありますが、幅広スペースではなく通常の区画幅で、且つ路面は砂利です。その程度の障害者用駐車スペースだとご認識下さい。

 

障害者手帳の提示で、本人と介助者1名の入園料が半額に減免されます。今回はあやめ祭りの最終日に訪問しました。

 

入園券売り場のスタッフが「だいぶあやめの数が少なくなっていますが、よろしいですか」と、入園料を払う前に、入園の意思を確認してきました。

あやめ祭りの期間だけ、入園料が700円に値上がりするシステムです。“あやめが少ない、金返せ”的なクレームが、過去あったのでしょう。

花が少ないなら値下げしてくれてもいいのですが、そういう臨機応変な対応はありませんでした。

 

園内の70%くらいは、舗装された通路がありバリアフリーに移動できます。30%くらいは、オフロードと段差のある橋など。それでも車椅子で、ほぼ園内全域のお花を鑑賞できます。

 

実はそれほど広い植物園ではありません。ゆっくり回って30分もあれば十分鑑賞できる規模です。あやめのお花が少なくなった状況だと、20分でいいかもしれません。

 

園内のスタッフは、皆さん絣の着物に編み笠の「水郷ルック」できめています。きっとこれが“制服”。表だって働いているのはすべて、この“制服”を着た女性ばかり。

 

アトラクションとして、園内の池をゆっくりとサッパ舟で回る企画がありますが、この船長も女性。園内の売店のスタッフも女性。園内の清掃をしているのも女性。女性だけで運営実務が行われている植物園です。女性スタッフばかりの植物園、世界的に見ても他にあるでしょうか。

水郷佐原水生植物園

もっとも有名なのは6月の「あやめ」です。400品種で150万本。これが“東洋一”だそうです。

 

あやめの季節の前、5月の「藤」も見事です。藤棚の長さは何と100m。香りも強い藤の花のトンネルになります。

水郷佐原水生植物園

そして、夏場の「ハス」。品種は300種以上。これは“日本一”の品種数になるそうです。

 

今回の訪問時で、ちょっと笑ったのは園内の売店の企画。「白いザリガニがいます」。

この植物園の売店は、車椅子では立ち寄りがたいバリアゾーンにあるので、残念ながら見ませんでしたが、多分見せるだけで、売ってはいないと思います。

 

植物園の外に、お土産物屋さんが並ぶ一角があります。佐原の地元のお菓子屋や名産品のお店が出店しています。

 

ここで、お土産を買っていた観光客の人が「古い街並みがあると聞いたけど、どこにあるの」とお店の人に聞いていました。佐原の街並みと水生植物園の地理的関係を、もっと解り易くPRする必要があります。

水郷佐原水生植物園

このお土産屋さんゾーンに公衆トイレがあり、簡易タイプのような障害者用トイレが独立して設置されています。他ではあまり見たことがトイレ。珍品といっていいでしょう。

 

1966年開業の水生植物園です。古い施設のままでしたが、ついに2015年7月から2016年3月まで閉園して、園内の改修工事が行われます。今回が改修前の最後の訪問です。

 

2016年の春、多分バリアフリーに生まれ変わって再開する、水郷佐原水生植物園に期待しましょう。