赤城自然園(群馬県渋川市2015/10)

~遊歩道完備ですが車椅子での散策可能範囲は入口周辺だけです、広大な120haの自然公園~

 

赤城山の中腹に広がる自然のままを楽しむ自然園です。「足に優しい散策路で、車椅子でも入園できます」というガイドになっていますが、山の自然公園なので、さすがに車椅子での散策は無理です。

 

無理なく車椅子で移動できるのは、出入口付近の一帯のみ。ここにあるトイレには綺麗な障害者用トイレが併設されていて、「展示棟」はバリアフリーです。これ以上は、“無理”をしてすすむことになります。

 

ちょっと足が悪いくらいの人なら、十分に散策が可能です。散策路は未舗装の自然路。アップダウンも適当にあります。メインの散策路以外に、横道を行くような散策路もあり、横道の方がアップダウンや段差はキツイ傾向があります。とはいえ、メイン通路でも車椅子では無理なレベルですから、マイペースでゆっくりと散策を楽しんでください。

赤城自然園

「ここはしあわせを育てる森」がキャッチコピー。極力、自然のまま、を残しています。開園時期は期間限定。「春」「夏」「初秋」「晩秋」の4つの期間で、各期間の狭間は、一般開放されません。今回は「晩秋」の10月下旬に訪問。一足早い紅葉を楽しみました。

 

園内は3つの区域に分けられていて、出入口に近いエリアが「セゾンガーデン」。車椅子でちょっと無理して散策できるエリアです。

赤城自然園

その先が「四季の森」。ここにはツリーハウス「樹上小屋」があります。このエリアまで車椅子で行くには、オフロードに耐える頑丈な車体の車椅子と屈強な介助者が必須です。

赤城自然園

その奥にある最後のエリアが「自然生態園」。「四季の森」を走破できるほどの車椅子使いなら、この最終エリアも走破可能かもしれません。

赤城自然園

一般的な車椅子利用者は、最初の「セゾンガーデン」の無理ない範囲で自重することをお薦めします。全域において“自然のまま”なのですが、「セゾンガーデン」のなかの「シャクナゲ園」付近は、人工的に植生が整備されています。

 

赤城自然園の成り立ちです。ことの始まりは1971年。西武グループがゴルフ場や別荘地を開発するために、この一帯の土地を取得しはじめ、1980年にはほぼ現在の自然園全域の土地を取得。この段階で企業メセナ活動として「自然園構想」が生れ、1986年には構想がまとまり、翌1987年には行政認可がおりました。

 

1993年に部分開園。西武グループの混乱の影響もあり2007年までは年間50日間だけの開園。2009年にクレディセゾンに運営が移り、2010年からは年間150日間の開園になり現在に至っています。年々利用者が増加中で、2014年は年間5万人の来場。この数年は毎年1万くらいの来場者増加が続いています。

赤城自然園

ちょっと足が悪い人でも、手軽に満喫できる大自然が魅力です。美味しい空気、豊かな緑、季節のお花、そして昆虫や野鳥。整備された歩道を歩きながら、これらの自然を楽しめます。ただし園内を流れる水は地下水を組みあげたもの。天然の小川ではありません。

 

ガイドツアーやナイトハイク、バスツアーなど、各種のプログラムが用意。一点ご注意。園内には飲食店や売店はありません。飲料の自動販売機とちょっとしたお土産屋さんがあるだけです。ちなみに関越の赤城ICから自然園までの間に、CVSが一軒あります。

 

入園料は1000円ですが、各種障害者手帳の提示で、本人と介助者1名の入園料が無料に減免されます。他には、本人名義のセゾンカードを持っている人は、カードの提示で入園料が半額になるサービスがあります。貸し出し用の車椅子あり。出入口の近くに無料駐車場完備です。

 

自然園の経営は厳しく、採算は苦しいとのこと。協賛企業と一般サポーターを増やして、安定的なランニング収入を得る計画のようです。西武グループが始めたメセナ事業。せっかくここまで続いたのですから、継続したいものです。

120haの敷地の内、現在開放しているのは60ha。つまりまだ半分しか整備できていません。自然のままの林を、安全に気軽に散策するための整備。これからまだまだ投資が必要です。

 

どうせなら、車椅子で気軽に移動できる範囲を広げる整備も、ぜひ検討をお願いします。

ヤオコー川越美術館(埼玉県川越市2015/11)

~駐車場からのアクセスが少しデコボコしますが、それ以外は完全バリアフリーの美術館~

 

川越氷川神社の近くにある美術館で正式名称は「ヤオコー川越美術館 三栖右嗣記念館」です。画家の三栖右嗣氏の作品ばかりを専門に展示中。2012年開館の新しい美術館です。

 

ワンフロア構造の小さな美術館。館内はバリアフリー。障害者用トイレはピカピカです。美術館前には5~6台分の駐車スペースがあり、障害者用駐車スペースも設置されています。

 

デザイナーズ美術館です。設計は建築家の伊東豊雄氏。小さいながらも、実にスタイリッシュでカッコイイ外観の美術館。建設候補地の選定から、伊東氏は積極的に関わったそうです。

 

ただ、バリアフリー目線で言うと、障害者用駐車スペースがエントランスから最も離れた位置にあり、かつエントランスへのアプローチには、駐車場の前の道から廻って行く設計で、しかも駐車場内の路面が、スタイリッシュなのですが少しデコボコ。駐車場からエントランスまでは庇はなく、雨の日は濡れます。

ということで、駐車場からエントランスまでの区間に関して言えば、デザインとバリアフリーの両立がいま一つではあります。

 

障害者手帳の提示で、本人と介助者1名の入館料が無料に減免されます。

美術館内部は区画が4つ。最初の区画は受付とミュージアムショップとトイレ。続く2つの区画が展示室。最後の一つの区画がカフェです。

カフェでは、スーパーヤオコーで人気の「おはぎ」などのスイーツがいただけます。

ヤオコー川越美術館

ヤオコー創業120周年事業として設立された美術館です。展示されている三栖右嗣氏の作品は、ヤオコーオーナー一族のコレクション。

 

徹底した写実主義で知られる三栖氏。老いた実の母親の裸体を写実した「老いる」は、母の身体に刻まれた皺の一本一本が写実されています。

カフェルームに展示されている「爛漫」は、500号の大きさの満開のしだれ桜の写実。息をのむ美しさです。

 

ヤオコーオーナー家の自宅や、ヤオコー本社に飾られていた作品だということ。広く一般に鑑賞する機会が与えられ、作品も喜んでいることでしょう。

三栖氏は2010年に、82歳で逝去されています。美術館開館をみることは出来ませんでした。

 

このような民間の美術館が誕生することは、素晴らしいこと。山種美術館、出光美術館のように、永く歴史を残す民間美術館になっていただきたい。

 

今回訪問したのは好天の休日のお昼前。来館者は、他には1名だけでした。

 

先ずは川越の新名所として、認知が上ることを期待します。

川越市立美術館(埼玉県川越市2015/11)

~障害者用駐車スペースはこの美術館の横にあります、市制80周年記念事業の市民美術館~

 

川越城二の丸跡に建設された市立美術館。隣接して市立博物館もあります。本稿は美術館のご紹介。博物館は別稿をご参照ください。

 

両施設共通で、駐車場は美術館と道を挟んだ反対側にある駐車場が案内されていますが、障害者用駐車スペースだけは美術館の横にあり、無料で利用できます。

 

2002年の開館。バリアフリー美術館です。各種の障害者手帳の提示で、入館料は本人と介助者1名が無料に減免されます。

 

B1から2Fまでの3フロア構造でエレベーターは一基。メインの展示室はB1。1Fは受付と「相原求一朗記念室」「市民ギャラリー」そして「タッチアートコーナー」。2Fは多目的ホール。各階に障害者用トイレが配備されています。

 

1Fの出入り口は2か所。駐車場方面と隣接する博物館方面に出入り口があります。

 

受付のすぐ奥にある「タッチアートコーナー」は、無料エリア。アート作品を手で触ることが出来るコーナーです。作品の横には、タッチ用の“白手袋”あり。素手で触ってはいけません。手袋をしてタッチしてください。

ただ、やや車椅子ではタッチしにくい置き方。車椅子が中に入るテーブルの上に作品がある、というようなバリアフリー的な配慮はありません。頑張って車椅子から手を伸ばして、タッチしてください。

 

「相原求一朗記念室」は、川越の洋画家、相原求一朗氏の作品が展示された小さな展示室。有料エリアです。相原求一朗氏のライフワークになったテーマは川越ではなく「北海道」。北の大地や海を描いた作品が目に付きます。1999年に80歳で逝去。相原求一朗氏は川越市の名誉市民です。

 

B1の展示室は、常設展と企画展の2区画。常設展の展示は、年に4回の入れ替えを実施。今回訪問時の企画展は、埼玉出身または在住の作家4人の展覧会。さすがに市立美術館。埼玉、川越が展示のキーワードです。展示室はバリアフリー。車椅子での利用に、問題はありません。

 

バブル期企画ではなく、川越市制80周年記念として2002年に開館した美術館。平成の不況期に、よく推進できたと思います。その甲斐あってか、今では川越は観光で大成功をしている町。この美術館も、観光の成功に一役買っている施設でしょう。2002年の施設にしては、建物構造的にもバリアフリーな部類だと思います。規模こそ中規模ですが、とても立派な美術館です。

川越市立美術館

一点だけ難点をつけます。

博物館方面への出入り口から出ると、美術館から隣接する博物館に向かう、近道ルートがあります。このルートがデザイン面ではかっこいいのですが、一種の石畳のような路面になっていて、車椅子では通行しにくい道です。車椅子でこの近道ルートをご利用の際には、デコボコを避けるようにご注意ください。

 

市民美術館として、とても立派な施設です。埼玉、川越にコダワル展示もヨシ。美術館だけをサッと見る感じなら、30分コースでも鑑賞できます。川越観光のついでに、ちょっと時間があれば、ぜひご来館ください。