東京体育館(東京都渋谷区2014/12)

~建築後ほぼ50年、バリアフリー改修によって車椅子でも利用可能な体育館~

東京体育館

スポーツの聖地、千駄ヶ谷駅前の東京体育館です。障害者スポーツの大会も、数多く開催されています。メインアリーナの他に、サブアリーナ、屋内プール、陸上競技場、多目的コートなどの設備があります。古い施設ですが、車椅子利用者のためにバリアフリー改修が進み、今や車椅子でも安心して利用できる施設です。

 

駐車場完備です。第一駐車場の屋外と地下、そして第二駐車場があります。第二駐車場は障害者スポーツの大会があるときなどは、貸し切り予約ができ、無料で利用できます。

 

通常車椅子ユーザーには、第一駐車場の地下の利用が推奨されています。外苑西通りを青山方面からアクセスしてください。第一駐車場地下には、4台分の障害者用駐車スペースが確保されています。

 

地下駐車場からのアクセスです。スロープがあり地上に上ります。このスロープはややきつい傾斜。よほどの力自慢の車椅子ユーザー以外は、介助者がいたほうがいいでしょう。

 

地上部に出ると目の前にサブアリーナの入口があります。サブアリーナが使用されていない時は鍵がかかっているので、壁のインターホンで来場の旨を言ってください。事務所に通じて鍵が開きます。

ドアは残念ながら自動ドアではありません。介助者がいない場合は、その旨をいうとスタッフが手伝いに来てくれます。ご自分の実力に応じて支援をお願いしましょう。

 

ここからサブアリーナ内に入ると、そこはサブアリーナの地下部になっています。メインアリーナ方面に向かう場合は、エレベーターを利用して一階上がってください。そこから更にスロープを使いながら、メインアリーナに行くことができます。後付でバリアフリー改修をしているので、乗ったり上ったりと、いろいろなことをすることになります。

 

メインアリーナ方面に向かうと「総合案内」があります。この施設の駐車場は、施設利用者に限り障害者手帳の提示で駐車料金が無料に減免されます。総合案内で駐車券と障害者手帳を提示してください。駐車無料券がもらえます。

 

障害者用トイレは複数あり。オストメイト対応トイレも用意されています。2か所実際に利用したことがありますが、広さ、設備、清潔感、いずれも合格のトイレでした。安心してご利用ください。

 

先日サブアリーナで開催された、車椅子競技者が多いスポーツ大会に参加したのですが、縦の移動のエレベーターが一基、障害者用トイレはサブアリーナ地下には一つ、という設計なので、競技休憩時間などは利用が集中して行列ができていました。このあたりは大会主催側で、何らかの配慮が必要だと思います。

 

1964年の東京オリンピックで使用された施設ですが、大改修によってバリアフリーになっています。後付バリアフリーの限界はありますが、車椅子でもなんとかなります。スポーツ大会に出場する、お知り合いの応援に車椅子でお出かけしても大丈夫。皆でスポーツを楽しみましょう。

障害者スポーツセンターのプールにきている人々

障害者スポーツセンターのプールにきている人々

障害者専用の公立のプールをよく利用しています。屋内温水プールで、一般のプールよりも、室温水温ともやや高めの設定なのが特徴です。そのこと以外は、1時間に一回10分の強制休憩時間、帽子着用、飛び込み禁止など、一般の公営プールと同じ利用ルールです。障害者手帳をもっている人と介助の人は、無料で利用できるプールです。

 

障害のある人にとって、適切な運動を行うことは重要なテーマです。皆さん思い思いに、プールでの運動に取り組まれています。よく見かける方々が大勢います。利用日を決めて、定期的な運動を続けているのでしょう。その中で、とくに印象の強い、親子でのプール利用者の様子をご紹介します。

 

視覚障害の30歳くらいの息子さんとお母様のペア。

50分間、背泳ぎを続けます。息子さんの進行方向前にお母様が後ろ向きに立ち、息子さんの背泳ぎの腕の動きを真っ直ぐにふり出すようにサポートします。

 

お母様は50分間、水中をうしろ歩行で息子さんの手を伸ばします。コースの端にくると息子さんに教えて、いったん立って向きをかえてスタートです。「イチ、ニイ、イチ、ニイ」と小さな声で掛け声をかけてあげているようです。

 

息子さんが何歳のときからの取り組みでしょうか、そして何歳まで続くのでしょうか。愛情か過保護か、努力か甘えか、この場面だけではなんの判断もできませんが、とても強い親子の関係があることは明らかです。

 

親子ペアでもう一組。

おそらくは10代後半の、かなり重度な脳性麻痺の御嬢さんとお父様。お嬢さんは“ぐにゃっ”となるアテトーゼ型です。

 

家族用の更衣室を利用して、車椅子に乗ってプールに入ってきます。プールサイドのベンチに腰を掛けさせて、準備体操です。御嬢さんは座位の確保が難しいレベルの障害ですが、お父様は体操をさせるのがとても上手です。文字通り、手取り足取り、体を動かして御嬢さんの準備体操を介助します。

 

そして十分に体操をしてから、一番浅いレーンで水中トレーニングをします。PTの技ですね。いつも体操10分、水中PT30分くらいのコースで運動をします。見ているだけで、お父様の愛情が伝わってきます。お嬢さんにとって、よい運動になっているのでしょう。

身体は重度障害ですが、親子のコミュニケーションはとれているようです。白髪頭のお父様の体力が続く限り、でしょうか。

 

最後は、知的障害のある30歳代くらいの男性のお二人。

プールには一人で入って運動をしていますが、送迎と着替えの補助には、それぞれお母様がついてきています。お母様同士も仲良しで、息子さんがプールを利用している間は、観覧席で並んで座って、ずっとおしゃべりをしています。障害の程度は重い息子さんです。

 

一人でプールに入って、歩いたり、ちょっとだけ潜ったりして、1時間で上れるようになるまでに、随分時間がかかったようです。訓練してパターンを刷り込みして、出来るようになったそうですが、でも悲しいかな、自分一人での着替えは、二人ともまだ出来ません。出来るようになるといいですね。今は、そこを頑張っているそうです。

 

障害のある人と、それを支える家族。

プールを利用しながら横目でみているだけでも、それぞれの人生のダイナミズムが伝わってきます。

皆さん、無理せず楽しく、そしてゆっくりと永く、プールを利用してください。

身体障害がある人のプール運動

身体障害がある人のプール運動

障害のある人にとって、適切な運動を正しく継続して行うことは、とても難しいテーマです。

 

プールを利用できる身体能力があり、水中運動に積極的に取り組まれている障害者は大勢います。利用が難しいのは、胃ろうや気管切開などをしている方、プールの薬剤へのアレルギーのある方などで、そういうことが無い場合は、ストレッチャー利用をしているレベルの重度の方でも、プールを利用している人はいます。

 

一般に身体障害のある人にとって、プール利用上の注意すべきポイントは、バリアフリーと暖かさです。

 

着替えから介助者のヘルプが必要な人にとっては、異性介護でも利用できる十分な広さのある更衣室があると助かります。特にあがって、びしょびしょの水着から平服に着替えるのが、身体障害のある人にとっては難事です。車椅子1台分がやっと、というスペースの更衣室だと辛いです。プール用の車椅子と、マイ車椅子が並んでおける広さが最低欲しいところです。

 

車椅子のまま入水できるスロープ設計のプールもあります。下肢が不自由な人にとっては、ありがたい設計。普通の多くのプールは、入水するところで介助者の力技が必要になります。特に上がるときは力がいります。無理をせずに、プールスタッフの方にも、ヘルプをお願いしましょう。

 

一般の人ほどガンガンには運動できず、さらに基礎体力も劣っている人の場合、普通の屋内プールの水温、気温設定では寒くなります。障害者専用の施設だと、水温気温とも30℃以上の設定になっています。これくらいの暖かさがあると、心強いです。

 

プールでの運動の方法、内容は人それぞれですが、医療分野としては整形、あるいはPTの領域になります。プール指導を行っている先生もいるので、自分にあった運動方法の指導をうけることもできます。通常歩行は出来ないが、水中歩行ならできる、という人はどんどん歩きましょう。専門家は正しい歩行姿勢を教えてくれます。

 

残念ながら、屋内プールが完備されている学校、通所施設はあまりありません。大きな専門病院のプールや、障害者用のプール施設なら一番安心ですが、一般の公営プールの中にも、身体障害のある人が利用し易い設計のプールがあります。

 

もっと積極的にプールを利用する障害者が増えていいと思います。まわりの皆様も、身体障害者にとってプール運動は大切だ、ということをご理解いただいて、障害者のプール利用を支えてください。