バリアフリー3つの最新トレンド

バリアフリー3つの最新トレンド

著しく進化する日本のバリアフリー。特に車椅子ユーザーにとって、本当に役立つバリアフリーの3つの最新トレンドをキーワードでご説明します。

 

○「ゆったり設計」

築10年以上の施設には“車椅子が入らない障害者用トイレ”など、冗談のような設計が本当にあります。“車椅子が曲がれない通路”になると、実はよくあります。バリアフリーを志向するなら、すべてにわたって「ゆったり設計」を心掛けてください。

 

近年誕生した物販店の通路が、とても広さに余裕があることにお気づきでしょうか。車椅子利用者から見た場合、通路の両脇で他のお客さんが商品をみて立ち止まっていても、真ん中を車椅子で通行できる広さの通路が望まれます。最低でも1m20cm、できれば1m50cm以上。最新の施設では2m幅の通路も見かけます。

 

物販店の通路幅で、建築の設計時点での配慮とともに重要なのは日常の運用です。ワゴンを“ドン”と置かれてアウトになる店舗もまだまだ数多くあります。エレベーターも、可能な限り“ワイド型”が望ましいですね。狭いエレベーターは、車椅子では利用しにくいのです。

 

出入り口のドアもワイド。飲食店の通路もワイド。レジャー施設などにある入場ゲートもワイド。健常者が“これくらいか”と頭でイメージするよりも、もう少し広い「ゆったり設計」が最新トレンドのその一です。

 

バリアフリー3つの最新トレンド

○「複数配置」

バリアフリー設備は“一つだけ”と“複数”では、利用の便宜に雲泥の差がでます。

 

最新の「道の駅」は、障害者用トイレが2か所以上あるのが一般的です。

 

大型の商業施設の障害者用駐車スペースは、複数の駐車区画に分散して配置されています。

エレベーターは設置コストがかかりますが、出来れば2基以上の設置が望ましいですね。

難しい場合は、エレベーターから見える場所に、階段を設置しましょう。混んで並んでいる場合、健常者は階段を選択できます。

 

プールの障害者用更衣室は、異性介護が可能な更衣室が一つしかないと、前の使用者が終わるまでずっと外で待ちます。障害者の着替えは時間がかかります。複数あると安心なのです。

 

15年前のデパートの改装は、全館で一か所障害者用トイレを後付設置するレベルでした。

10年前の施設は、偶数階に障害者用トイレを設置。

5年前の施設で全階に設置。

最新の施設は、全階に2つ以上設置が珍しくありません。

 

施設によって、スペースや予算の限界はあります。それでも“可能な限り”バリアフリー設備は「複数配置」するのが、トレンドのその二です。

 

バリアフリー3つの最新トレンド

○「スロープ不要」

段差にスロープが無い、ということではありません。スロープを設置する必要がない、完全フラット構造のことです。まさに最新トレンド。数はまだ少ないですが、2013年頃から、各地に出現してきました。

 

今までのほとんどのジャンルの施設、及び車道歩道などの社会インフラ全般は、雨水の処理や誤進入の防止などの観点から、車道、歩道、建物は、それぞれ違う高さに施設として建設されてきました。

 

この常識を覆して、すべて同じ面、同じ高さで設計された施設です。最新の「道の駅」などに採用されている設計思想。段差があるのは当たり前、それをバリアフリーにするためにスロープを設置する。車椅子や自転車のために、通路のところだけ段差削って差を小さくする。こういうバリアフリーとは、根本思想が違います。

 

一般的な交差点の場合、車道と歩道は2cm位の段差が残っています。これをバリアフリーだと思うのは健常者で、実際に車椅子で利用すれば、2cmの段差がどれほど大変なのかがすぐにわかります。最初から段差が無ければよかったのです。

 

雨水の処理は、ごくわずかな傾斜をつけることで解決できます。それを乗り越える豪雨なら、2cmの段差乗り越えてしまいます。

 

階段の横にスロープを設置するという常識。そもそも車椅子にとって傾斜は、上りも下りも、とても辛いし怖いのです。スロープは車椅子利用者にとっては“非常手段”。「スロープ不要」は、過去、誰かが考えて設計して常識になってしまった“バリフリーもどき”の常識を覆す新思想の設計。最新トレンドのその三です。

 

 

バリアフリーを志向する関係者の皆様。車椅子利用者からみた、役立つ最新トレンドは「ゆったり設計」「複数配置」「スロープ不要」です。

 

ぜひ意識をして、このトレンドを取り入れてください。よろしくお願いします。